2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791238
|
Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
多賀 正尊 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (70359462)
|
Keywords | 放射線 / 肺がん / メチル化 / LINE-1 |
Research Abstract |
原爆投下後60年以上が経過しても原爆被爆者における肺がんの過剰相対リスクはいまだに高い。しかしながら、放射線被曝が長期間にわたり肺がん発生に影響を及ぼす分子機序は未だ不明である。そこで本研究では、原爆被爆者保存肺がんで観察される分子的変化を解析し、被曝線量との関連を、喫煙を含む病理・疫学的因子を考慮した分子疫学的手法により検討し、原爆被爆者肺がんの分子腫瘍学的特徴を明らかにする。この分子疫学的手法と、培養細胞を用いた基礎実験を平行して行うことにより、原爆被爆者肺がんの発生機序を理解することを本研究の目的とした。本年度は主に、原爆被爆者保存肺がん組織とその周辺部の非がん組織においてゲノムDNA全体のメチル化指標の一つであるレトロトランスポゾンLINE-1のメチル化をCOBRA法によって解析した。その結果、肺扁平上皮がんの非がん組織において、被曝症例群のLINE-1メチル化頻度は非被曝症例群のメチル化頻度よりも低く、放射線被曝がメチル化に影響を与えている可能性を示唆した。このメチル化への影響が、がんあるいは前がん過程を介するものなのか、あるいは、放射線の直接の被曝によるものなのかを今後検討したい。また、培養細胞を用いた基礎実験からも放射線照射によるメチル化の変化を調べるため、現在、ヒト気道上皮細胞株BEAS-2Bに対して複数の条件下でX線を照射した後のLINE-1のメチル化を解析中である。
|
Research Products
(3 results)