2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における新たな治療戦略としてのステロイド・アンド・ゼノバイオテック受容体発現
Project/Area Number |
21791242
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
六反田 奈和 群馬大学, 医学部, 助教 (50420097)
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Keywords | 癌 / 核内受容体 / 外科 |
Research Abstract |
乳癌の発生・進展に深く関与するERは他の核内受容体と相互作用があり,転写活性が修飾される.SXRはTypeII核内ホルモン受容体に属し,薬物やホルモン代謝に重要なCYP3A4などの転写を調節する.SXRは主に肝臓や小腸に発現するが,乳癌組織にも発現することが報告されている。我々はタモキシフェン(TAM)によりCYP3A4遺伝子の転写活性が促進され、TAM耐性に関与する可能性を見出した。また、乳癌細胞におけるERとSXRの間の相互作用とその機序について解析したところ、SXRとコリプレッサーであるsilencing mediator for retinoid and thyroid receptors(SMRT)が結合しERからSMRTが解離することによりERの転写が増強されることが判明した。今回、乳癌症例の検体を用いてSXRの発現と臨床病理学的背景から、乳癌におけるSXRの発現の意義を検討した。2007年~2009年に当院で手術施行した乳癌症例のうち、群馬大学倫理委員会の承認を受けて文章にて同意が取得でき、乳癌組織採取が可能であった72例を対象とした。手術検体から直接乳癌組織を採取し、total RNAを抽出した。SXRのmRNA発現量をReal time RT-PCR法にて測定し、病理組織学的因子との関連を検討した。SXRの発現は全例で認めたが、SXR発現と年齢との相関は認めなかった。SXR発現と閉経状況、内服薬の有無、合併症の有無、喫煙の有無の間に相関を認めなかった。SXRのmRNA発現は腫瘍径、脈管浸潤との間に相関を認めなかったが、リンパ節転移陰性、軽度核異型の症例において、有意に高かった。ER、PR、HER2とSXRのmRNA発現の発現との関連を検討すると、ER陽性、PR陽性、HER2陰性において有意にSXRのmRNA発現が高かった。以上より、SXR発現は乳癌における予後良好因子のひとつになる可能性も示唆された。
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