2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791247
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 祐直 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80397380)
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Keywords | 移植後動脈硬化 / 慢性拒絶 / ムスカリン性ACh受容体 / 炎症細胞 / 遊走 |
Research Abstract |
移植された臓器において,リンパ球などを介したレシピエントの免疫反応(拒絶反応)によりドナーの血管内皮が傷害されると,様々なサイトカイン・ケモカインが産生される。慢性期においては,平滑筋様細胞が増殖・遊走することにより新生内膜(移植後動脈硬化)を形成し,血管閉塞による移植臓器の機能不全をきたすことが臨床での大きな問題となっており,移植患者の予後を制限する。神経伝達物質として広く知られているアセチルコリン(ACh)とムスカリン性ACh受容体(muscarinic acetylcholine receptor,mAChR)は,リンパ球などにも存在し,刺激によるACh産生促進やmAChR発現増強が報告されている。昨年度,マウスより採取した白血球を用いて,Boyden Chamber法にてカルバコール(コリン作動薬)刺激による細胞の遊走を検討したところ,無刺激群に比して有意な遊走の増大が認められた。本年度は,免疫炎症に関与するといわれているmAChRサブタイプ1(M1)および5(M5)に着目し検討を行った。野生型(WT),M1またはM5欠損(KO)マウスの骨髄から単核球(移植後動脈硬化進展に関わる細胞の一つ)を分離・採取し,Boyden Chamber法にてカルバコール刺激による細胞遊走を比較検討したところ,M1-KOおよびM5-KOの単核球において,WT群に比して有意な遊走の減少が認められた。以上の結果より,M1またはM5受容体欠損マウスにおいて,移植後動脈硬化進展が抑制される可能性が示唆された。今後,各mAChRサブタイプ欠損マウスを用いた心臓または血管移植モデルを作製し,移植後動脈硬化進展との関連を検討する予定である。
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