2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己肝温存同所性部分肝移植と組織幹細胞移植併用による自己残肝再生促進効果
Project/Area Number |
21791256
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山之内 孝彰 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10448508)
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Keywords | 細胞移植 / 肝移植 / 多能性幹細胞 / 肝再生 |
Research Abstract |
目的:自己肝温存同所性部分肝移植(auxiliary partial orthotopic liver transplantation:APOLT)モデルのラットに対して、自己脂肪組織から分離した多能性幹細胞を自己残肝に移植し、自己残肝の再生および機能回復を促す。 上記実験に先立ち、同種成熟肝細胞移植の障害肝に対する置換効果を検討した。 (方法) マーカーとしてレシピエントにDPPIV(-)、ドナーにDPPIV(+)ラットを用いた。レシピエントラットの肝前葉にX線50Gyを照射し障害を与え、再生刺激として肝右中葉(全肝の約20%)へ向かう門脈の枝を結紮した。その後、ドナーラットから、コラゲナーゼ還流法にて分離した成熟肝細胞を経門脈的に移植した。 (結果) 移植8週後、摘出肝のDPPIV組織染色では、赤く染まるドナー由来肝細胞が著明に増殖し、レシピエント肝細胞の80%以上を置換していた。さらにドナー由来の肝細胞は、PAS染色ではゴリコーゲンが、免疫染色では糖新生関連酵素であるPCK-1、肝細胞間gap結合に特異的なコネキシン32が正常肝と同様に発現していることが確認された。 (結語) 移植された成熟肝細胞は、レシピエントの障害肝において、増殖刺激の存在下にレシピエント肝細胞を置換するまでに著明な増殖を認めた。さらに、移植肝細胞は、正常肝細胞と同様にグリコーゲン貯蔵や糖新生酵素の発現を認め、正常のgap結合を構築しつつ増殖していることが明らかとなった。多能性幹細胞はin vitro、in vivoで肝細胞様細胞に分化することが知られている。APOLTモデルに対する多能性幹細胞移植により、自己残肝の再生促進や正常な機能回復を得られる可能性が示唆された。
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