2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム群タンパク質複合体を介する肝幹細胞の自己複製制御機構の解析
Project/Area Number |
21791258
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
上野 康晴 Yokohama City University, 医学部, 助教 (60375235)
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Keywords | 幹細胞 / 自己複製 / ポリコーム群タンパク質 / エピジェネティクス / 肝癌 |
Research Abstract |
ポリコーム群(PcG)タンパク質を介した肝幹細胞の自己複製制御機構を明らかにするため、(1)肝幹/前駆細胞におけるPcGタンパク質複合体の標的遺伝子の同定、(2)同定された遺伝子の自己複製における機能解析、(3)標的遺伝子の腫瘍形成における役割の明確化を試みている。本年度は、(1)、(2)について解析した。 PcGタンパク質が担う転写抑制においてはPcG構成因子の一つであるRing1Bの機能が重要視されている。そこでRing1Bコンディショナルノックアウトマウス(CreER(T2)^<+/->;Ring1B^<flox/flox>マウス)を用いて肝幹/前駆細胞におけるRing1Bの機能解析を進めた。その結果、Ring1Bを欠損したマウスにおいては肝発生が大きく阻害されることが明らかとなった。フローサイトメトリーを用いてこのマウスの肝幹/前駆細胞を選択的に単離し、クローン性コロニーの形成過程を解析したところ、Ring1Bを欠損したマウス肝臓においては高い増殖能と多分化能を兼ね備えた肝幹細胞の存在頻度が著しく減少していた。すなわち、Ring1Bは肝幹細胞の自己複製に必須であると考えられた。 そこで、Ring1Bの下流遺伝子群の同定を目的として、肝幹/前駆細胞においてRing1B欠損時に脱抑制を受ける遺伝子の抽出を試みた。マイクロアレイ解析の結果、約900遺伝子がRing1B欠損時に脱抑制を受けることが明らかとなった。さらに、肝幹揃駆細胞を対象として抽出された遺伝子のプロモーター領域におけるRing1Bの集積をクロマチン免疫沈降法(ChIP-PCR)により検討したところ、複数の遺伝子のプロモーター領域においてRing1Bの集積が観察された。現在、Ring1B下流候補遺伝子群について機能解析を進めている。
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