2010 Fiscal Year Annual Research Report
個別化医療に向けた新規乳癌リンパ節転移診断法の臨床応用
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21791264
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
大迫 智 (財)癌研究会, 有明病院 病理部, 医員 (70535442)
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Keywords | 臨床医学 / 乳線外科学 / 乳癌 / リンパ節転移 / 分子病理診断 |
Research Abstract |
One-step nucleic acid amplification法(OSNA法)は、本邦で研究・開発された先進的な分子病理学的リンパ節転移診断法である。従来の病理組織学的検索法ではリンパ節の一部の割面しか観察できず、リンパ節全体の腫瘍量の評価は困難であった。しかし、OSNA法ではリンパ節全体が検索でき、転移量をサイトケラチン19mRNAコピー数で半定量化することが可能である。そこで、実臨床でのOSNA法の有用性を証明する目的で、乳癌の1)センチネルリンパ節、2)郭清リンパ節転移診断それぞれにおいてOSNA法と従来の病理組織学的検索法の転移検出能を比較した。対象は、1)センチネルリンパ節転移検出能に関しては、2008年に2mmスライス組織診で検索した617例と2009年4月~2010年3月にwhole lymph nodeをOSNA法で検索した531例。2)郭清リンパ節転移検出能に関しては、2009年4月~2010年9月にセンチネルリンパ節転移陽性で腋窩リンパ節郭清を行い、1割面組織診で検索した64例とOSNA法で検索した119例。全例が放射性同位元素を用いてセンチネルリンパ節生検が行われたpT1-2症例である。方法は、1)、2)それぞれにおいて、組織診とOSNA法でz検定を用いて統計学的に比較した。結果は、1)センチネルリンパ節転移検出能に関しては、2mmスライス組織診18%(109/617)、OSNA法23%(121/531)であり、OSNA法が約5%高率であった(P=0.36)。2)郭清リンパ節転移検出能に関しては、1割面組織診20%(13/64)、OSNA法56%(66/119)であり、OSNA法が約3倍高率であった(P=<0.001)。以上より、OSNA法は、従来の病理組織学的検索法では割面に現れなかった潜在転移巣、特に微小転移巣の検出が可能であることが示唆された。上記1)については論文がオンライン発表され、2)については論文投稿中である。
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Research Products
(5 results)