2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトール三キナーゼ遺伝子変異が乳癌薬物治療に及ぼす影響
Project/Area Number |
21791266
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Shikoku Cancer Center |
Principal Investigator |
原 文堅 Department of Clinical Research, National Hospital Organization Shikoku Cancer Center, 臨床研究部, 医師 (00507717)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 医療福祉 / 臨床 / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
近年、PI3Kのcatalytic domain(遺伝子コードはPIK3CA)に遺伝子変異が高率に起こっていることが報告された。この遺伝子変異は細胞の癌化に影響を及ぼし、下流のリン酸化活性を促進する恒常的活性化変異であることが分かり,乳癌においてこの遺伝子変異は10-40%と高率に見られることが分かっている。この変異はhelical domainをコードするexon9(E542K,E545G)とkinase domainをコードするexon20(H1047R)に見られ、この3つの遺伝子変異で90%を占めることがわかっている。In vitroの実験ではこれら3つの遺伝子変異は下流のAktを恒常的に活性化し、機能的にactive mutationであることが示唆されている。PI3K-Akt経路はDocetaxelの薬効耐性に関与しているとの報告が多数あり、この経路を活性化するPIK3CAの遺伝子変異の存在は耐性機序の一因となっている可能性がある。本年度,我々はDocetaxelによる乳癌術前化学療法を施行された症例90例における治療開始前針生検パラフィン包埋標本を用いてPIK3CA遺伝子変異の測定を行った。乳癌針生検組織パラフィン切片より安定してDNAを抽出するために試行錯誤した。困難であった原因として1.針生検標本は非常に小さく十分量のDNAが取れない。2.ホルマリン固定条件,標本作製後経過年数によりDNA抽出効率が異なる。があった。これら課題を克服するために長時間を要したが,QIAampDNAを用いDNAを抽出し,Hotspot近傍Primerを設計しPCRで増幅することで十分量の精錬されたDNAが安定してとれ,シークエンス解析が可能となった。現在全針生検サンプルに対しDNA抽出中であり,これが終了後シークエンス解析,臨床病理データとの関係を検討していく。
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