2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒートショックプロテインをもちいた新規食道癌ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
21791268
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿久津 泰典 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00375677)
|
Keywords | 食道癌 / ヒートショックプロティン / gp96 |
Research Abstract |
腫瘍への放射線照射は,腫瘍のアポトーシス,あるいはネクローシスの誘導とそれによる腫瘍抗原の放出という利点だけではなく,gp96の発現増強を介したsystemicな免疫応答の増強が期待できる.一方で,樹状細胞の腫瘍内局注はcell deliveryの点できわめて有利であり,これらを組み合わせた放射線併用樹状細胞腫瘍内局注法はさらなる効率的な免疫治療になる可能性があるとおもわれる。 本研究では、最初にマウスSCCVII扁平上皮癌細胞を用いてTumor-derived HSP-peptide complexの抽出を安定して施行できる環境を確立した。Purificationは、Pramod K. Srivastavaの方法(METHODS: A Companion to Methods in Enzymology 12,165-171(1997))に従った。また、臨床検体を用いて、gp96の発現状況と食道癌術後の予後の相関関係を統計学的に検討した。その結果、切除標本におけるgp96の陽性率は全体で73%であった。リンパ節転移陽性率はgp96陰性の症例で高い傾向にあった。単変量解析による検討ではgp96陽性症例は陰性症例にくらべて有意に予後良好であった(p=0.049)。多変量解析でも「gp96陰性」は独立した予後規定因子であった(Hazardratio:2.6,p=0.04)。リンパ節転移個数はgp96陽性症例に比べて陰性症例において多い傾向にあった。すなわち、gp96は食道癌のバイオマーカーとして有用であると思われた。これらの結果については英文誌にて公表した。今後はより効率のよい免疫療法を開発するため、微小磁性体を併用した温熱療法による抗原賦活と、腫瘍内樹状細胞局注療法の開発を行う予定である。
|