2010 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病術後感染制御における術後早期白血球除去療法の有用性
Project/Area Number |
21791281
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉山 繁幸 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60444436)
|
Keywords | クローン病 / 好中球 / surgical site infection |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)患者は併存症や慢性的な栄養障害などにより高率に術後の感染症を発症し、医療費高騰の一因となっている。われわれは術後の感染性合併症が頻発する潰瘍性大腸炎術直後に異常に活性化された顆粒球を除去する目的で白血球除去カラムを用い術後早期の異常炎症反応を制御し、術後感染性合併症の発生を50%から10%以下へと低下させることに成功し、抗生剤使用量を抑制し早期退院も可能にし医療費を大幅に低下させることに成功した。我々がこれまで明らかにした結果では以下の事実が判明した。i)術直後の使用は輸血下においても安全で全例で完遂できた。ii)術後の発熱、心拍数の増加を速やかに正常化させることができたため解熱剤等の使用量が抑制できた。iii)術後の感染症の発生率が従来の五分の一となり、入院期間が短縮できた。iv)合併症発生率低下に伴い術後長期的な消化管機能の低下が回避され、QOLが向上した。以上の事項は潰瘍性大腸炎と同様の炎症性腸疾患であるクローン病に於も充分に期待でき、さらに長期的な予後の改善にも結びつくものと考えられる。またこれらの臨床結果を裏付けるデータとして現在のところ、周術期の好中球の細胞死をネクローシスから正常なアポトーシスへと誘導し、その結果血清顆粒球エラスターゼ値がほぼ完全に制御できたという基礎データが得られている。 今回この結果をもとに白血球除去カラムを同じく難治性炎症性腸疾患であるクローン病患者にも適用させ、術後の免疫反応がいかに制御されるか明らかにし、術後合併症の発症及び入院医療費を抑制する新しい治療法を確立することが本研究の目的である。本年度においてもクローン病患者周術期血液サンプルの収集、および術前、術直後の好中球を分離し、好中球機能を網羅的に調査する目的で培養を行った。また、クローン病患者における適切な手術タイミングについても、術後合併症の観点から臨床データの解析を行っている。
|
Research Products
(3 results)