2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌に対する肝移植後の再発・転移機構の解明とその制御に関する研究
Project/Area Number |
21791292
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
居村 暁 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90380021)
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Keywords | 肝癌 / 肝移植後再発 / micrometastasis / 浸潤・転移 / 臓器親和性 |
Research Abstract |
【背景・目的】肝癌に対する肝移植後の転移臓器への癌細胞着床のメカニズムを解明すべく、肝移植時の虚血再灌流(I/R)傷害と癌細胞増殖や接着分子との関連およびインターフェロンやsiRNAによる転移抑制効果を検討する。 検討1:肝転移、臓器親和性遺伝子群の同定;ヒト肝癌株をマウスに脾注して作成した肝転移モデルの転移巣を継代して樹立した肝高転移株を用いて肝転移・臓器親和性遺伝子群を同定する。 【方法・結果】検討1:CH3マウスを用いてI/R後、マウス脾臓に1×10^6個のMH134肝癌細胞(東北大学加齢研究所)を投与し肝転移コロニー数の計測、肝組織における血管新生を評価する。 結果1:マウス脾臓に1×10^6個の細胞を接種後1週間での転移コロニー数は平均20個であった。次はI/R傷害モデルにおける脾注-肝転移モデルでの転移コロニー数の検討を行う。過小グラフト肝移植モデル(マウス大量肝切除モデル)での検討もすすめる。また、CT26細胞を門注あるいは脾注したマウスに脾摘を併施するとTGFβ、IL-10上昇により肝転移が増強するという知見を得たので脾摘モデルの検討も試みたい(HCV関連肝癌への肝移植時、通常脾摘を併施)。 検討2:肝転移の制御;インターフェロン(Peg-IFNα2b)による肝転移抑制効果を検討する。 結果2:まずin vitroで検討し、Peg-IFNの細胞増殖抑制効果を確認した(MTTassay、投与48時間後/投与前=73.8%)。また、Peg-IFN投与細胞ではVEGF mRNAの発現が有意に抑制された(Control:PegIFN(1×10^5U/ml)=0.86±0.21:0.71±0.30)。1/R(-)脾注モデルでは、Peg-IFN投与群はControlと比べ有意に肝転移を抑制した(コロニー数;Control:Peg-IFN2100U/ml:PegIFN21000U/ml=19.3±1.2:9.5±3.0:6.0±3.0)。CD34免疫染色では、Peg-IFN群でControlと比べ有意にvascular progenitor cellが減少していた(Control:PegIFN21000U/ml=51±12:32±10)。 【まとめ・今後の展開】肝移植後の微小転移巣からの再発モデルとして癌細胞の脾注、門注による肝転移形成、また脾摘により肝転移が増強することを確認した。今後、I/RおよびPeg-IFN投与の有無で群別して肝転移コロニー数の計測、Micro vessel density(MVD)測定、VEGF、HIF-1などの免疫組織学的検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)