2010 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症における脾腫の分子メカニズムおよび肝脾相関の解明とその臨床応用
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21791296
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金城 直 九州大学, 大学病院, 特任助教 (00507791)
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Keywords | 肝硬変 / 肝内微小循環 / エンドセリン-1 / 脾臓 / 肝脾相関 / 門脈圧亢進症 |
Research Abstract |
脾臓は肝臓と門脈系を介して連結し肝疾患の進展に伴い、脾臓は増大し、脾腫を呈するが、その成因や詳細なメカニズムは不明である。肝硬変患者に脾摘術を行うと、術後肝機能が改善することは臨床でしばしば経験するが、その詳細なメカニズムに関して詳細は不明である。今回我々は、肝硬変患者における肝脾相関に関して、脾臓と肝内微小循環に注目して研究を行った。結果1.脾摘術を行った肝硬変患者の摘出脾臓を用いて肝内血管抵抗に関与すると考えられる4つの分子(エンドセリン1、エンドセリン変換酵素(ECE)、TGFβ、アンギオテンシン変換酵素(ACE))の脾内でのmRNAの発現に関して、非肝硬変患者と比較したところppET1は肝硬変6.9vs非肝硬変3.4(p<0.0042)、ECEは9.4vs7.7(NS)、TGFβは19.2 vs 16.0(NS)、ACEは0.091 vs 0.091(NS)とET-1のmRNAの発現が肝硬変症例で高かった。結果2.ラット胆汁性肝硬変モデル(BDL群)を作成し、開腹のみの群(開腹群)と比較した。(1)門脈圧はBDL群23.3cmH2Oで、開腹群11.1cmH2Oに対し有意に高値で(p<0.01)、肝組織血流量は、開腹群18.6ml/minで、BDL群13.3ml/minと有意に低下していた(p<0.01)。(2)門脈血中ET-1は、開腹群1.8pg/mlで、BDL群4.2pg/mlと有意に高く(p<0.05)、ET-1の免疫染色にてBDL群では開腹群に比べ有意に脾内ET-1の高発現を認めた。以上より肝硬変では脾臓でET-1が高発現し、門脈を介して肝星細胞を収縮、肝内抵抗を増加させ、肝内微小循環や肝機能に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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