2011 Fiscal Year Annual Research Report
胆嚢癌における浸潤様式:脱分化のメカニズムと予後との関係
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21791299
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
甲斐 敬太 佐賀大学, 医学部, 准教授 (60516540)
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Keywords | 胆嚢癌 / budding / Tumor infiltrating lymphocyte / 脱分化 / 炎症細胞 / 浸潤 / 腫瘍-間質相互作用 / 胆嚢腺筋腫症 |
Research Abstract |
本研究を遂行するにあたり、胆嚢癌例の切除標本の検討を行っていたところ、胆嚢癌として切除された症例の中に胆嚢腺筋症を合併している症例が意外と多いことに気づいた。胆嚢腺筋症は一般に胆嚢癌とは関連がないと考えられており、症状がない限り手術適応ともならない。もし、胆嚢腺筋症と胆嚢癌に密接な関係があれば非常に重要な知見となるので、この点について臨床病理学的な解析を行った。その結果胆嚢癌の約25%に腺筋症の合併がみられ、腺筋症合併例は進行した状態で見つかることが多く、予後も有意に悪いことがあきらかとなった。この結果を英文論文にまとめ、報告した。 胆嚢癌の脱分化、萌出については昨年度までの研究で有意な結果を出しており、論文を投稿中であったが、本年度論文が受理され、発表となった。その続報をめざし、胆嚢癌50例のTissue microarrayを作成し、炎症細胞浸潤と脱分化について検討を行うこととした。脱分化の指標として最も有名な細胞接着因子であるE-cadherinの発現の定量値を求め、炎症細胞は白血球全体、Bリンパ球、Tリンパ球、CD8、CD4陽性Tリンパ球、好中球、マクロファージをそれぞれラベリングする抗体:LCA、CD20、CD3、CD8、CD4、MPO、CD68を用いて免疫染色を行い評価することとした。E-cadherinの定量として当初、定量的蛍光二重免疫染色法を用いる予定であったが、うまくいかなかった為、通常の免疫染色を画像解析ソフトTissue Studio (Definiens, Mumchen, Germany)を用いて定量化し、浸潤炎症細胞も同ソフトを用いてその個数をカウントし、E-cadherin発現との相関を解析した。その結果、E-cadherin発現と有意な逆相関を示したのは、白血球全体(LCA)、Tリンパ球(CD3)、CD8陽性Tリンパ球(CD8)の浸潤であり、中でもCD8陽性Tリンパ球浸潤が最も強い逆相関(P=0.0001)を示した。この結果は今後学会発表する予定であり、胆嚢癌の脱分化におけるCD8陽性Tリンパ球の役割については、今後in vitroの研究を行って追及し、論文報告をめざす予定である。
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Research Products
(4 results)