2010 Fiscal Year Annual Research Report
iPS技術を応用した人工癌幹細胞(iCaPS細胞)の樹立及び機能解析
Project/Area Number |
21791307
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 和正 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50348786)
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Keywords | iPS / 人工癌幹細胞 / 胃癌 |
Research Abstract |
2006年山中らはマウス体細胞にレトロウイルスベクターを用いて4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)を導入し、形態や増殖能がES細胞と類似し、分化多能性も持つ人工万能幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功している。本年度において、われわれは、胃癌細胞株であるMKN28、MKN45及びヒト胃癌臨床検体より得られた初代培養細胞を用いてiPS細胞を樹立するのと同様の手法を用いて、ヒト胃癌細胞株由来の人工多能性癌幹細胞(iCaPS ; induced cancer pluripotent stem cell)の樹立を試みた。山中4因子を導入後、ヒトES細胞の条件下で培養を行うことにより、形態的特性や増殖能に加えて遺伝子発現パターンがES細胞と類似したヒトiCaPS細胞の樹立に成功した。純化した各iCaPS細胞クローンについて、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性、SSEA-3/4発現度合いについて酵素反応および免疫染色法による解析により未分化性の評価を行った。その結果、MKN28由来iCaPS細胞クローンにおいて高い幹細胞活性が示された。抗癌剤感受性試験における5FU、CDDP及びPTXの48時間の曝露では、野生株と比べiCaPS細胞クローンにおいて薬剤抵抗性が示唆された。消化器領域における癌幹細胞の機能解析において、各消化器における正常な組織幹細胞が分離同定されていない中で、prospectiveな分離同定を試みるにとは困難を要することが示唆される。こうした背景のもとiCaPS細胞の樹立及び機能解析は、癌幹細胞の機能解析を行う上で非常に有用なモデル細胞であると考えられる。今後、自己複製能、分化能、造腫瘍性能等の評価を行い、癌幹細胞の特性を明らかにし、新たな治療開発への寄与を目指すことを目的とする。
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