2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌に対するneuropilin-1を標的とした新たな治療法の開発
Project/Area Number |
21791310
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松下 晃 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (70449263)
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Keywords | neuropilin-1 / 膵癌 |
Research Abstract |
膵癌の予後は不良であり、その治療は非常に困難である.膵癌では多くの増殖因子レセプターやそのリガンドの発現が認められ、その悪性度との関連が報告されている.Neuropilin-1(Np-1)は増殖因子であるvascular endothelial growth factor-A(VEGF-A)と軸索の伸長阻害因子であるsemaphorin3Aのco-receptorとして働く膜蛋白である.Np-1は膵癌において過剰発現が報告されているが、その生物学的役割は明らかでない. Np-1を高発現するヒト膵癌細胞株PANC-1においてNp-1の発現をantisense strategyにて低下させたところ、invasion assayにおいてNp-1 antisense(NP-1As)でshamに比し細胞浸潤が低下したが、VEGF-Aは浸潤を誘導せず、Np-1に結合することが知られる増殖因子hepatocyto growth factor (HGF)のNp-1による細胞浸潤への関与が示された.またHGFとNp-1の結合を阻害する抗Np-1抗体を用いて行ったinvasion assayではPANC-1のHGFにより誘導される細胞浸潤が抗Np-1抗体により有意に抑制された. Np-1はHGFを介した細胞浸潤に関与していることが明らかとなった.Np-1は膵癌の新たな治療標的と成りうると考えられ、抗Np-1抗体を用いた新たな膵癌治療の可能性が示された.
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