2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791315
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和田 啓伸 Chiba University, 医学部附属病院, 医員 (90514604)
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Keywords | 代償性肺成長 / 肺再生 / II型肺胞上皮細胞 / 肺切除 / 機械的牽引 / 組織幹細胞 |
Research Abstract |
【背景】肺切除後の残存肺で重量、容積、DNA量が失われた分を補うように回復することが報告され、代償性肺成長(Compensatory lung growth)として知られている。残存肺容量と胸腔容量との較差により生じるMechanical stretchや、残存肺の灌流血流量の増加をトリガーとすることが報告されているが、その分子機序は明らかではない。ラット左肺全摘モデルを用いて右残存肺の組織形態と遺伝子発現プロファイルの変化を解析した。【方法】週齢7週のWistar ratを用い左肺全摘を行う全摘群(P群)と開胸のみのSham operation群(S群)を作成し、3日、1週、1か月、3か月、6か月後に犠牲死させ、それぞれの右肺における湿重量を測定し組織切片による形態学的解析を行った。さらにP群の残存右肺より経時的にmRNAを抽出しマイクロアレイ(4 plex expression array, Roche NimbleGen)を用いて26,208個の遺伝子を網羅的に解析した。コントロールには先に摘出した左肺を用いた。【結果・考察】全摘後早期(術後3日、1週)に残存肺の重量・体積が増加し、細胞分裂に関する遺伝子発現の増加を認めたが、細胞増殖は全摘後早期に限ったものであり、全摘後後期(術後1か月、3か月、6か月)では、肺胞腔は拡大したままで、本来の成熟以外の成長の要素は捉えられなかった。一方で、全摘後後期には血管新生や炎症反応および血管・神経・胸膜の発生・分化に関わる遺伝子の発現が大きく変動しており、神経・血管系の再構築が示唆された。【展望】「全摘後の残存肺では、肺再生の足場となる潜在性は秘めているものの、その基となる幹細胞が十分ではないのではない」と仮説を立て、肺胞レベルの組織幹細胞として知られるII型肺胞上皮細胞を、術後早期に気道内移入した肺再生モデルによる研究を次年度に行う予定である。
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Research Products
(2 results)