2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫に対するmTORを標的とした分子標的治療の基礎的検討
Project/Area Number |
21791316
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田村 昌也 Kanazawa University, 医学系, 助教 (10397185)
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Keywords | 悪性胸膜皮腫 / mTOR / 分子標的治療 |
Research Abstract |
平成21年度はラパマイシンの悪性胸膜中皮腫細胞株に対する治療効果をIn Vitroで検討した。 中皮腫細胞株4種類(H226, MSTO-211H, H226, H290)に対してMTT assayにてTemsirolimus, Cisplatin, Pemetrexedは濃度依存性(Temsirolimus : 0.001, 0.01, 0.1, 1, 10μM, Cisplatin, Pemetrexed : 0.001, 0.01, 0.1, 1, 10μg/ml)に増殖抑制効果を示し、いずれも良好な治療効果が見られた。 次いで、各種薬剤のコンビネーションアッセイを施行した。Cisplatinの濃度はIC50値を参考に0.1μg/ml,0.3μg/mlとした。Pemetrexedについても同様に0.1μg/ml,0.3μg/mlとした。MSTO211HのみにTemsirolimus, Cisplatinの相乗効果を確認した。Temsirolimus, Pemetrexedは相乗効果は認められなかった。正常細胞(中皮細胞のIMR-90, Met-5A)に対しても同様に検討したが、治療効果は認めなかった。MTT assayの問題点として単薬剤使用時とコンビネーションアッセイでの感受性がかなり異なる点が挙げられ、細胞株の継代を繰り返したことが-因と考えている。 Western blot法にて蛋白発現を解析した。mTORの下流に位置するS6蛋白(p-S6)の発現が濃度依存性に抑制された。さらにERK, PIK-3, Akt等,mTOR pthway周辺の蛋白発現についても現在検討中である。細胞毒性の出ない濃度による治療でそれぞれの細胞上清中のVEGF, PDGF-AA, EGF-2発現レベルへの影響をELISA法にて検討した。今後FACS法にてapotosisの検討も追加する予定である。 mTOR阻害剤の悪性胸膜中皮腫への治療効果を確認するため、動物モデルを用いた検討を施行予定であるが、その前段階であるIn Vitroでの検討ではほぼ期待通りの治療効果が得られたと考えている。
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