2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791329
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
内藤 洋 Nara Medical University, 奈良県立医科大学・医学部, 助教 (00316069)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 人工心筋組織 |
Research Abstract |
三次元培養心筋組織(Engineered Heart Tissue ; EHT)を作成する為の条件を可能な限り変更し、至適な培養条件を決定する事を目標に検討を行った。 人工心筋組織の作成および検討は従来の方法を踏襲して行った。即ち、新生児ラットの心臓から単離した細胞とコラーゲンを混合した心筋細胞混合物をドーナツ型の鋳型内で培養することにより人工心筋組織を作成し、培養12日目に等尺性収縮力測定を行った。 組織形成に影響を与える可能性がある(1)コラーゲンの種類、(2)コラーゲンの濃度、(3)細胞数について(1)肉眼的観察、(2)顕微鏡的観察、(3)収縮力測定試験、(4)分子生物学的手法を用いて検討した。 コラーゲンの種類については購入可能な6種類のコラーゲンについて検討した。6種類中3種類のコラーゲンではコラーゲンの濃度、細胞数を変化させても肉眼的にリング状の組織の形成は確認できなかった。従って、それ以降の検討は残りの3種類のコラーゲンを用いて施行した。それら3種類のコラーゲンで作成したEHTは顕微鏡的に培養初期には細胞の拍動が観察され、培養の継続と共に一体化した拍動、また、収縮力測定を行う時期には肉眼的にも拍動が確認できる組織が形成された。しかし、従来のコラーゲンを用いた組織では、ほぼ全ての組織で測定が可能な収縮力を発生していたのに対して、これらの組織では約半数で収縮力の測定が出来なかった。また、本来持つはずのカルシウムに対する収縮力の上昇も認めなかった。リアルタイムRT-PCRによる検討ではカルシウムハンドリングを司る遺伝子の発現がこれまで報告されてきたEHTの発現パターンが異なる事が明らかとなった。現在はこれらの問題点を改善するべく、培養条件の更なる検討を継続している。
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