2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体位駆出心における心筋クロスブリッジ動態解析―放射光X線回析法による心不全評価
Project/Area Number |
21791330
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田村 大和 Nara Medical University, 医学部, 研究員 (20382301)
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Keywords | 化学物理 / 加速器 / 心不全 / X線解析 |
Research Abstract |
本研究は駆出心における分子ナノオーターのタイナミックスを放射光X線回析法(SPring-8)で計測し、解析することで動的状態で収縮タンパクレベルでの心不全を診断する方法の開発を目的とした。SPring-8の15keVという高エネルギー、高光子量のX線により生体位駆出心におけるクロスブリッジ動態を明らかにすることが可能である。 本研究における拍動心モデルとしては、ラット摘出ランゲンドルフ灌流心標本と、より生理的条件下と考えられる人工呼吸下での開胸モデルを用いてクロスブリッジ動態を解析した。それぞれのモデルで低酸素下やペーシングを用いた心拍数変化での評価を行った。また、肥大心モデルや高血圧モデルの病的心の評価および薬物治療後の評価も行った。ラット摘出ランゲンドルフ灌流心標本においては低酸素下では前負荷の増大に伴う左心室の発生圧の低下が観察された。これは心筋クロスブリッジ形成量の低下によるもので、低酸素環境下ではFrank-Starlingの法則が破綻していることが示された。また、心不全モデルとして、イソプロテレノールによる肥大心の測定では、収縮期、拡張期におけるクロスブリッジの形成・解離動態に着目し、解析を進めている。また、治療後の変化の解析も行っている。SPring-8でのX線回析強度やミオシン格子間隔の時間解析によるクロスブリッジの挙動の直接的な解析結果と、コンダクタンス・カテーテルを用いて同時記録した左心室圧-容積関係との対応によりミクロとマクロの関連を評価して、新たな所見がさらに得られると考えている。 今後、拡張心モデルの計測を行い、肥大心モデルとの比較を検討している。
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