2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体位駆出心における心筋クロスブリッジ動態解析―放射光X線回析法による心不全評価
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21791330
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田村 大和 奈良県立医科大学, 医学部付属病院, 研究員 (20382301)
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Keywords | 化学物理 / 加速器 |
Research Abstract |
本研究はSPring-8で分子ナノオーダーのダイナミクスを観察し、心不全の診断、治療効果を評価することを目的とした。心筋の収縮タンパクに注目し、複雑な形態と多重の代償機構を保持した標本(生体位駆出心)とその破綻を来した心不全モデル標本を用いて、アクチン・ミオシンの相互作用(クロスブリッジ動態)とミオシン線維格子間隔の変化を解析した。また、左室の圧容積データも同時測定し、マクロスコピックな心機能データと統合的に解析し、その機能情報から心臓の合目的性と心不全の病態のナノ診断を試み、治療の有効性をナノレベルで評価した。 左室にX線を照射すると二重の円弧~環状のX線回析が得られる。内側の回折像は1,0赤道反射と呼ばれミオシン線維を、外側の回析像は1,1赤道反射と呼ばれアクチン、ミオシン両方の線維の情報を反映する。心臓の収縮に伴い、ミオシン頭部がアクチンと結合(クロスブリッジの形成)すると、ミオシン線維による回折像が減少するため、1,0赤道反射の輝度が低下する。また、収縮によるずれはアクチン、ミオシン両方の線維による回析像である1,1赤道反射で補正すれば、クロスブリッジの形成・解離動態が観察できる。また、X線と1,0赤道反射のなす角度は、X線の波長(0.082nm)とミオシン線維の格子間隔により規定される。試料と撮影管の距離と1,0赤道反射の出現位置から、ミオシン線維の格子間隔(約35~40nm)を解析できる。今回の研究のモデルはイソプロテレノールによる肥大心モデルのクロスブリッジ動態解析を行った。現在、収縮期、拡張期におけるクロスブリッジの形成・解離につき、解析を進めている。さらに遺伝子治療を開始し、治療効果の評価を行っている。 同時に、ラット摘出ランゲンドルフ灌流心標本にて心機能評価も行った。生体位全心臓標本との結果を合わせて解析を行うことで、今後新たな所見が得られると考えている。
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Research Products
(1 results)