2010 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動治療における除神経術:心内膜下自律神経ネットワークの解明
Project/Area Number |
21791335
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 俊一郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (50398872)
|
Keywords | 心房細動 / 自律神経 |
Research Abstract |
本研究は心房細動の発症および維持にかかわる心房筋への自律神経作用の分布、特に副交感神経のネットワークを解明することを目的とする。これにより心房細動手術では不十分な除神経効果を心外膜面、特に心内膜面で明らかにし、焼灼することで治療成績を高めることが期待される。心臓神経叢(ganglionated plexi)は心表面脂肪織または心外膜面に分布し、それらを焼灼することである程度の副交感神経作用を減弱(除神経)させ、副交感神経の亢進に起因する心房細動への治療もしくは予防効果があると期待されている。しかし、過去の研究からもGP焼灼だけでは除神経効果は不完全であり、これは心内膜面において神経作用が残存している可能性が示唆される。これら心内膜面の除神経を行うためには心房筋を全層性に切開縫合もしくは焼灼するMAZE手術の追加が必要と考えられている。しかしながら心内膜面の自律神経ネットワークに関してはいまだ明らかでなく、MAZE手術の除神経効果、またはさらに有効な焼灼方法や焼灼場所を明らかとするためにも電気生理学的な実験アプローチが不可欠である。 心臓神経叢(GP)の高頻度刺激によって迷走神経反射の生じるactive GPは主に洞結節へと作用をおよぼすものと房室結節への作用を有する2つのネットワークから構成されることがわかった。これに迷走神経幹などextrisic nervous systemからの入力が加わり、刺激部位によってvarietyに富んだネットワークが構成される。しかし迷走神経反射として顕在化するのは洞結節もしくは房室結節へのどちから一方の神経作用であり、焼灼順序によっては迷走神経反射のネットワークが変化し、または他部位における刺激反射が消失する。これまでの研究結果において神経作用の受容体、すなわち心房筋レベルでの神経ネットワークの局在は明らかとなったが、心房細動手術において、効率的のよい除神経効果を得るためには入力レベルでのネットワークを調べる実験が必要である。本年度は刺激~入力における自律神経ネットワークの同定に関し実験を行うとともに、内膜マッピング所見と合わせて治療療効果の観点で有効な心房細動手術術式の検討を行う予定である。
|