2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に発現するエストロゲン受容体のEGFRとの機能的関連と分子標的の可能性
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21791339
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
能勢 直弘 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (50461554)
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Keywords | EGFR / 肺癌 / 肺腺癌 |
Research Abstract |
【背景】上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)はEGFRに遺伝子変異をもつ肺腺癌に奏功する。過去に我々はERβ強発現症例ではEGFR変異の頻度が高く、EGFR変異症例においてERβの強発現は独立した予後良好因子であることを報告した。今回、EGFR-TKIの感受性にERβの発現状況が関与する可能性を検証した。【対象と方法】当科においてEGFR-TKIによる治療が行われた肺腺癌のうち、パラフィン検体の入手が可能であった43症例を対象とした。ERβの発現はパラフィン検体の免疫組織学的染色を行いAllred scoreを用いて8段階で評価。score 5以上を強発現、4以下を弱発現症例とした。EGFR遺伝子変異はPCR法により評価した。【結果】ERβ強発現が21例、弱発現が22例、EGFR遺伝子変異は30(69.8%)例に認めた。ERβ強発現症例ではEGFR遺伝子変異を弱発現群に比べ有意に多く認め(85.7%、54.5%、p=0.045)、奏功例が多く(奏功率;強発現:66.7%、弱発現22.7%、p<0.01)、無増悪生存は有意に長かった(p=0.001)。EGFR遺伝子変異を有する群においてERβ強発現は弱発現群に比べ奏功例が多い傾向を示し(奏功率;強発現:77.8%、弱発現41.7%、p=0.063)、無増悪生存も有意に長かった(p=0.012)。【結論】ERβ強発現症例ではEGFR遺伝子変異症例が多く、EGFR-TKIが奏功する症例が多かった。さらにEGFR遺伝子変異を有する群においてERβ強発現は弱発現群に比べ無増悪生存が有意に長かった。このことはERβ強発現がEGFR遺伝子変異を有する肺腺癌においてEGFR-TKIの奏功を予測するバイオマーカーのひとつになり得ることを示唆する。
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Research Products
(5 results)