2010 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起神経膠腫の染色体ヘテロ接合性の消失に関連した予後を規定する分子機構の解明
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21791347
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
甲賀 智之 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40456124)
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Keywords | 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 乏突起神経膠腫 / myelin transcription factor 1-like / 遺伝子発現 / 治療反応性 / 予後 |
Research Abstract |
乏突起神経膠腫は最も多い原発性脳腫瘍である神経膠腫の一種で、多く(50-80%)に1p19q染色体ヘテロ接合性の消失(LOH)が認められ、この染色体異常を伴う乏突起神経膠腫は、伴わないものよりも治療反応性や予後が良いことが知られており、補助診断法としても、染色体異常の検査が応用されるようになっている。このように乏突起神経膠腫では、染色体レベルの異常に対する知見が深まりつつあるが、これによってもたらされる発癌までの遺伝子・分子細胞学的機構の詳細や、良好な治療反応性をもたらす機序は未だ解明されていない。我々は以前の研究の結果からMyelin transcription factor 1-like(MYT1L)という神経細胞の遺伝子群の転写にかかわり、さらにその分化増殖に関与している可能性のある転写因子に注目した。 RT-PCRを当院の腫瘍検体に対し、網羅的に行ったところ、mRNAレヴェルにおいて、MYT1Lが染色体異常を伴う乏突起神経膠腫に高発現しており、染色体異常を伴わない乏突起神経膠腫やその他の神経膠腫で発現が少ないことを親した。乏突起神経膠腫に特有の染色体異常とMYT1Lの発現が相関しており、その診断的意義の有用性が示唆された。
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