2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791351
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
見崎 孝一 金沢大学, 附属病院, 助教 (20507082)
|
Keywords | 脳腫瘍 / 髄芽腫 / 髄腔内播種 / Wnt signal pathway |
Research Abstract |
本年度は病理学的分類に加えて弁別式PCR法による遺伝子増幅について検討を加えた.病理学的検討では脳腫瘍WHO分類で追加された髄芽腫の亜型である「medulloblastoma with extensive nodularity」と「anaplastic medulloblastoma」がそれぞれ1例及び2例該当することが判明した.特に後者は予後不良とされる亜型であるが、1例は治療6ヶ月後に死亡し、残る1例は10年以上生存しており対照的な予後であった.この2症例に弁別式PCR法を行うと生存例ではN-mycの死亡例ではc-mycの遺伝子増幅を認めた.また研究者が本腫瘍の予後良好因子と発表したγ-cateninを免疫組織化学で検討すると生存例でのみ陽性であった.この結果により再分類された病理診断によっても予後予測は困難だが、分子遺伝学的診断により予後を判定し得ることを示す新たな知見と考えられた.さらにWnt signal pathway関連因子を解析し、核内蛋白として細胞増殖に作用するcyclin D1の免疫組織化学法による陽性例は予後不良の傾向があることも見出したが,予後との統計学的な有意差は得られなかった.しかしcyclin D1陽性であった7例は全例診断後2年以内に死亡していることから臨床的意義はあると考えられた. また申請者は髄腔内播種を来たした症例について化学療法の反応性を検討しcase reportとして報告を行った(Misaki, Brain Tumor Pathol, in press). 以上より髄芽腫の予後良好因子として免疫組織化学によるγ-cateninが,予後不良因子はcyclin D1とc-myc遺伝子増幅が判明し,髄芽腫の予後を判定する上で一定の知見を得ることができた.
|