2010 Fiscal Year Annual Research Report
自殺遺伝子導入iPS細胞による悪性神経膠腫治療におけるバイスタンダー効果の研究
Project/Area Number |
21791354
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小泉 慎一郎 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (10456577)
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Keywords | 脳腫瘍 / 遺伝子治療 / iPS細胞 / チミジンキナーゼ |
Research Abstract |
我々は悪性神経膠腫に対する新たな治療戦略として、これまでに脳内を自由に遊走し腫瘍に集積する神経幹細胞や間葉系幹細胞をベクターとする遺伝子治療の研究を展開してきた。この流れを受け、当初iPS細胞のバイスタンダー効果の評価を行ったが、難航の末、まず、悪性神経膠腫へ向けての移動能が認められるかどうかを検討した。in vitroではdouble chamber systemを用い、上部にiPS cell、下部にunconditioned media (UCM)、glioma cell line(6種類)のconditioned media (CM)や、growth factor (VEGF、PDGF-BB、SDF-1α、SCF)、さらにCMに各growth factorの抗体を入れたものをそれぞれ加え、移動能を細胞数で評価した。またin vivoでは、ヌードマウスの基底核に腫瘍細胞を移植し、1週間後に対側の基底核にSPIOを導入したiPS cellを移植、さらに、その1週間後に7T MRIにより移動の評価を行った。in vitroでは、移動した細胞数は、いずれのCM群でも、UCM群と比較して有意に多く、また、各growth factor存在下で濃度依存性に移動細胞数は増加し、抗体の存在により減少した。さらにRT-PCR法により、iPS細胞における各腫瘍関連成長因子受容体発現は線維芽細胞と比較して有意に上昇していた。in vivoでは、T2強調画像で腫瘍側にSPIOによる影響を認め、iPS細胞の腫瘍への移動と示唆された。悪性神経膠腫培養液ならびにそこに含まれる腫瘍関連成長因子を用いて、iPS細胞における悪性神経膠腫へ向けての移動能のin vitroの評価を行い、腫瘍関連成長因子が関与していることが示され、in vitroの実験で、腫瘍への移動を確認できた。本研究の結果によりiPS細胞をベクターとして用いる自殺遺伝子治療の可能性を示唆する。
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Research Products
(6 results)