2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳深部刺激療法による損傷海馬の神経新生と神経回路再生
Project/Area Number |
21791363
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上利 崇 Okayama University, 病院, 助教 (60423290)
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Keywords | てんかん / エリスロポイエチン / 神経栄養因子 / 神経新生 / 神経保護効果 |
Research Abstract |
側頭葉てんかんモデルラットに対し、本年度はエリスロポイエチン持続投与の治療効果をまず評価した。キンドリングによるてんかんモデルを用いたが、てんかんモデル末期においてエリスロポイエチンを投与した群においては、全く治療効果が得られなかっただけでなく、異常な神経新生も末期にはむしろ減少すること登影響したためか、海馬における神経新生に対する有意な効果も認められなかった。一方、キンドリング前からエリスロポイエチン投与を開始した群ならびに、開始直後からエリスロポイエチン投与を開始した群においては、キンドリングによりStage IVにいたるまでのキンドリング回数が有意に増加し、キンドリングに対してもエリスロポイエチンは抗けいれん効果を示すことを明らかにした。海馬における生存細胞についても、NeuN陽性細胞が対照群に比較して多く生存していることも明らかにした。また、神経新生についてもBrdU投与により評価したところ、海馬における新生細胞が減少しており、苔状線維との関係から、エリスロポイエチン投与により、特に異常な神経新生が抑制されている可能性が示唆された。近年、てんかんと関係があるとされるNPYについても検討を加えると、キンドリングモデルにおいてもNPYの受容体が海馬神経細胞において発現が増加していた。臨床応用を考える上で、エリスロポイエチンの有する造血能は多血症を引き起こし、血栓症等の合併症が問題になるのだが、本研究では脳室内持続投与法を用いたために、有意なヘモグロビン値の上昇を認めなかった。続いて、BDNFを持続的に投与することで、キンドリングモデルラットに対する治療効果を検討する研究を行うため、安定してBDNFを産生することのできる細胞株を、カチオニックリポソーム法を用いて作製し、半透膜製の中空糸に封入して、1日あたり約8ngのBDNFが分泌されるカプセル化細胞が得られた。今後、本カプセルを移植して治療効果を評価する。
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