2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマに対する腫瘍溶解性ウイルスと抗血管新生薬との併用療法についての検討
Project/Area Number |
21791364
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒住 和彦 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20509608)
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Keywords | 悪性グリオーマ / 腫瘍溶解性ウイルス / 抗血管新生薬 |
Research Abstract |
我々は、悪性グリオーマに対する新規治療として腫瘍溶解ウイルス(OV)をより効果的な治療戦略とするため、腫瘍溶解ヘルペスウイルスを用いた腫瘍微小環境、さらには、腫瘍血管の変化についての研究を行ってきた。 そこで、抗血管新生治療薬cilengitideとの併用によりOVの効果が増強されることが新知見としてえられたが、この結果は薬剤の局所投与、1種類のウイルスと1種類の抗血管新生治療薬の結果であった。今回のプロジェクトでは、この結果を発展させるために他のOVや他の抗血管新生治療薬の使用について検討し、抗血管新生治療薬によりOVの腫瘍溶解を増強するメカニズムをさらに調べた。 1)血管新生を抑制しているか否かを確認するため、微小血管密度を調べたところ、cilengitide投与群において血管密度が低下しており、今回はさらに、血管径が縮小していることもわかった。 2)CD45などの免疫染色で、cilengitide投与群では宿主の炎症細胞浸潤の低下を認めた。さらには、併用群においても炎症反応の発現低下が認められた。 3)cilengitide単独群においてQuantitative PCRにて、IL-1,IP-10,Mig,IL-8などの炎症反応に関連する遺伝子の発現が低下していた。さらには、併用群においても炎症反応の発現低下が認められ、OVを増強させる、相乗効果の一つの機序として考えられた。 4)他の抗血管新生薬であるベバシツマブも今回の実験に使用したところ、非投与群とくらべ、ベバシズマブ投与群において、血管密度が低下していたが、血管径の縮小化はなく、各々の抗血管新生治療薬による血管新生阻害の形態学的な違いが認められた。ベバシズマブとの併用についても検討していく予定である。 以上の結果をさらに発展させ、今後、腫瘍微小環境をターゲットとした分子標的薬と新規腫瘍溶解ウイルス(OV)との併用による治療効果についての実験を始めていく予定である。
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