2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマ腫瘍幹細胞の放射線増感機序に関わるSurvivin発現の役割の解明
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21791365
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
齋藤 太一 Hiroshima University, 病院, 医科診療医 (40457247)
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Keywords | 悪性グリオーマ / 腫瘍幹細胞 / Survivin |
Research Abstract |
本年度は、悪性神経膠腫細胞株からのglioma stem like cellの樹立を目的として実験をすすめた。実験には、悪性神経膠腫の培養細胞株であるU251MG、D54MG、T98Gを用いた。まず各培養細胞株を、無血清培地で培養すると、浮遊してsphereを形成してくる細胞群が現れ、この現象を確認した。各細胞株間で比較すると、U251MGで比較的高率に、sphereを形成する細胞群が現れることが判明した。次に、この浮遊したsphere形成細胞と接着系の細胞を抽出し、抗CD133抗体、抗survivin抗体による蛍光免疫染色、またウエスタンブロット法を行い、比較検討した。CD133は、脳腫瘍幹細胞に比較的特異的な表面蛋白として報告されているが、検討の結果ではsphere形成細胞では、CD133の陽性率が明らかに高く、一方で接着系の細胞では、陽性を示す細胞は殆ど認められなかった。またsurvivinに関しては、接着系の細胞でも、陽性を示したが、sphere形成細胞では、強陽性を示した。これらの結果からは、浮遊してsphereを形成する細胞群は、stem like cellの性格を有し、survivinはこの細胞の維持に、強く関わっている可能性が示唆された。今後、in vivoの実験を含め検討を進めていく予定である。 一方で、今年度は、悪性グリオーマにおけるsurvivinの発現の意義について、これまでの知見を整理するために、Review articleを作成し、現在、British Journal of Cancerに投稿中である。
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