2009 Fiscal Year Annual Research Report
術中経頭蓋運動野電気刺激における非刺激部位の同定とその臨床的意義の検討
Project/Area Number |
21791368
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 公章 Kyushu University, 大学病院, 助教 (80448422)
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Keywords | 運動誘発電位 / 経頭蓋電気刺激 / 被刺激部位 / 術中モニタリング / 運動機能 |
Research Abstract |
本研究では、2010年3月までに39手術例から運動誘発電位(MEP)のデータを収集することができた。そのうち、16例は経頭蓋刺激(TES)で、残る23例は皮質直接刺激(DCS)であった。これまでに収集したデータを元に解析を行った。 刺激強度を閾値レベルから上昇させると、立ち上がり潜時は次第に短縮し,プラトーに達した。本研究で行った最大200mAまでの刺激強度では、潜時の"jump"は認められないことから、行った刺激強度の範囲ではプラトーに達した後の被刺激部位はほぼ不変であると考えられた。 次に、最大刺激での立ち上がり潜時を、身長の差を補正して比較するとTESとDCSとでは0.03msecの差があり、TESの方が若干早かった。仮に神経伝導速度を60m/secとすると、これは0.18cmの差ということになり、潜時差からは被刺激部位はほぼ同じと判断された。一般にDCSは皮質直下の神経線維を刺激していると考えられるが、TESでもほぼ同部位を指摘していると判断された。 また、TESでは刺激を最大200mAまで上昇させても、ほとんどの症例で誘発される筋電図の電位に著明な左右差を認め、刺激と対側で得られるMEPの振幅のほうが遥かに大きいもの(同側では対側と比較して約41%)であった。これは刺激が(左右の神経が近接した部位を走行する)脳幹よりも中枢側(大脳半球のレベル)で皮質脊髄路を刺激しているためと考えられる。 経頭蓋刺激16例中、術中に運動誘発電位に有意な変化が認められた症例は2例であった。この2例ではいずれも術後に麻痺を認めた。両例の病変が基底核近傍にあることを考慮すると、TESが病変部位より中枢側を刺激していることを裏付けているデータであると考えられる。 これらのいずれのデータからも、TESの被刺激部位は大脳半球の神経線維であろうと考えられる。来年度には更に症例を重ねて、詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)