2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通タンパクを用いた神経分化に関わる細胞内シグナルの制御と応用
Project/Area Number |
21791374
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
久保 篤彦 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80525030)
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Keywords | 神経分化 / 皮膚由来幹細胞 / パーキンソン病 / STAT3 / VHL / SOCS / ペプチド |
Research Abstract |
後遺症の残る脳細胞損傷である脳梗塞,進行性の脳細胞脱落であるパーキンソン病などの中枢神経疾患に対し,生体の持つ自然治癒力は期待し難く,薬剤での治癒も期待が薄い現状の中、増殖・分化能の高い幹細胞移植による再生医療が期待されつつある,本研究では(1)細胞源として皮膚由来幹細胞のポテンシャル,(2)神経分化に関わる因子の制御などについて明らかにし,再生治療効果の向上と安定化を目的とした.皮膚より単離,ニューロスフェア法により継代培養を行った皮膚由来幹細胞を用い,神経分化能を有することを確認した.この皮膚由来幹細胞の局所移植が奏功するには,移植前に神経分化誘導されていることが必要で,その因子として既知のVHLタンパクに焦点を絞り検討した.未分化維持機構と分化促進には細胞内シグナルであるSTAT3の関与が示唆された.即ちVHLタンパクの構造はN末端のユビキチン化するタンパク質結合部位であるβドメインとC末端のElongin B, C, Cullin-2, Rbxlと複合体を形成するαドメインからなるが,Elongin B, Cの結合部位に相当する構造が神経分化誘導能を有していた.この神経分化誘導因子は細胞内シグナルであり,細胞障害性が少なく細胞内導入することが移植細胞には求められる.そこで膜貫通タンパクを用いた手法でシグナルを制御するようペプチドを設計した.ペプチドは投与1時間で98.3%の細胞に細胞内導入され,6時間で核内移行を認めた.STAT3、SOCS3などの細胞内シグナル伝達物質が神経分化へ関与することを確認できたため,これらを有効に制御できるペプチドの設計を行った.アミノ酸を配列したペプチドは構造上不安定性があることとタンパク構造ではシグナル物質と結合してもその一部を切り取ったペプチド配列では三次元的な構造の変化が生まれ,思惑通りの制御を得られないことが判明した.そのためコンピュータ上でシュミレーションしたペプチド配列の設計を考慮した.今回,再生医療の一手法として皮膚細胞の活用が有用と考えられた.
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