2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい頚髄慢性圧迫モデルを用いた脊髄の可塑性の検討
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21791388
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
久保田 雅史 University of Fukui, 医学部附属病院, 理学療法士 (60422672)
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Keywords | 脊髄慢性圧迫 / ラット / 前角細胞 / トレッドミル / MRI / 脊髄横断面積 / SDNRs / BBBスケール |
Research Abstract |
本年では、本研究の目的である頚髄慢性圧迫による神経科学的変化をとらえるために,脊髄慢性圧迫モデルを作成し,一年間飼育しながら運動機能・感覚機能といった行動学的評価,X-rayやMRIといった画像評価,さらに病理学的評価を実施した。研究結果より,我々が作成したモデルでは,モデル作成半年後より脊髄圧迫が出現し,一年後には脊髄横断面積で約30%の減少,単純X線像において脊柱管の狭窄がみられていた。MRIでは,T2強調矢状断像よりC4高位での脊髄内のSDNRsはコントロールラットが20.4±5.5であるのに対し,モデルラットは32.4±10.9と有意に上昇しており,髄内高輝度変化を示していた。また,病理学的所見ではモデルラットのくも膜下腔は狭小化し、脊髄が全周性に圧迫され扁平化していた。モデルラットの白質では軸索の脱髄や空胞化がみられ、灰白質では前角が扁平化し,前角細胞の委縮や減少が見られた。さらに,四肢の感覚障害やトレッドミル最大歩行速度の減少(コントロールラット:33.3±3.5m/min,モデルラット:21.7±4.5m/min),Basso Beattie and Bresnahan Locomotor Rating Scale (BBBスケール)の低下といった運動機能障害を引き起こしていることが明らかとなった。先行研究で行われてきた亜急性の脊髄圧迫モデルでは,明らかな運動機能の低下をきたすことが報告されているが,本研究で作成したモデルラットは,軽度な運動障害が緩徐に出現してくることが明らかとなり,よりヒト頚椎症性脊髄症や後縦靱帯骨化症といった病態に近い障害像を確認することができた。また,頸髄慢性圧迫モデルラットの最大トレッドミル速度は脊髄横断面積と相関関係を有していたことから、脊髄への圧迫に伴い,脱髄や前角細胞数の減少などの病理学的変化が運動機能障害の出現に関与していると推察された。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] ラット頸髄慢性圧迫モデルの解析:行動学的評価,MR像,病理学的検討2009
Author(s)
久保田雅史, 小林茂, 佐々木伸一, 嶋田誠一郎, 松尾英明, 竹野建一, 宮崎剛, 岩本久雄, 馬場久敏
Organizer
第24回日本整形学会基礎学術集会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2009-11-06