2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子遺伝子導入による損傷後脊髄神経グリア系細胞の微小環境制御
Project/Area Number |
21791389
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 福井大学, 医学部, 助教 (10397276)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経栄養因子 / 遺伝子治療 / 逆行性導入 / アデノウィルスベクター / アポトーシス / 神経保護 / 軸索再生 |
Research Abstract |
脊髄損傷後の機能回復には、損傷後の内因子神経栄養因子発現欠乏という微小環境を改善することが必要不可欠である。本研究では、脊髄に(1)非侵襲的、(2)目的部位に効率的に導入、(3)他臓器に影響を与えない、などの点で有利と考えられる筋(target organ)からの逆行性導入という新たなアプローチを用い、脊髄損傷を蒙った脊髄神経グリア系細胞の生存維持、軸索再生、再生能力の賦活化効果について検討することを目的とした。 逆行性導入は軸索流を介したアプローチであり、直接導入は前角細胞のみと理論上は考えられるが、興味深いことに脊髄損傷の環境下ではグリア系細胞への直接的導入もみられた。mechanismを推測すると、軸索の破綻、astorocyte, microgliaの遊走、貪食作用など損傷後の脊髄内環境およびadenovirus vectorの高い感染能力が関与している可能性が考えられた。逆行性導入では、neuronからautocrine、paracrine機構を介したtorophic effectsに加え、グリア系細胞によるtorophic effectsの助長の可能性も示唆された。神経栄養因子導入群では、TUNEL陽性細胞数の減少、activate-caspase-3の発現現象、oligodendrocyteのprogenitor cellの指標とされるNG2発現増加などが確認され、neuronやoligodendrocyteのapoptosis抑制をひとつの機序として、神経保護効果、再生能力賦活化効果をもたらすと考えられた。
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