2010 Fiscal Year Annual Research Report
交差緩和率イメージングECRIと質量解析に関する研究
Project/Area Number |
21791391
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
筑紫 聡 名古屋大学, 医学部・附属病院, 病院助教 (90378109)
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Keywords | Cross-relaxation Rate imaging / MRI / 骨軟部腫瘍 / 画像診断 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
21世紀のimagingにおいては生物学的な情報をいかに可視化できるかが望まれている。PETや拡散強調像の研究が目覚ましい進歩を遂げているも、画像解像度の問題から十分な臨床応用には至っていない。磁化移動効果を応用したEquivalent Cross-relaxation Rate Imaging(ECRI)は生体高分子を定量的に評価した画像手法であり、画像解像度の向上により臨床応用が十分期待されている。悪性軟部腫瘍は同一組織型でも症例により悪性度や局所浸潤性が異なり、これらの術前診断が可能となれば治療成績は飛躍的に向上する。そのためこの分野でのECRIの研究は臨床上重要である。 平成20年度に蓄積された症例をもとに、ECRIと骨軟部腫瘍の病理学的な悪性度および浸潤性とを比較検討を行った。(1)従来のMRIと比較してECRIにおいて腫瘍組織は筋肉内や脂肪や骨と有意な対比を呈し、浸潤性を明瞭に示した。全体の85%が組織学的な浸潤性と一致し、特に皮下や筋肉内の浸潤は腫瘍周囲の浮腫の影響を受けないECRIは腫瘍の浸潤を明瞭に示すことが見いだされた。(2)ECR-19という条件下ではDFSPやデスモイド等の線維性腫瘍は有意に高い値を呈することを示した。このことからECRIは腫瘍の浸潤性のみならず組織学的特性を示す可能性があり、骨軟部腫瘍領域において臨床的に有用な補助診断法の確立の第一歩を踏み出したと言える。特に良性病変においては組織型によりECRおよびECRIは大きく異なり、現在組織型によECRの比較検討を行っている。3TのMRIによる研究を継続して行っており、臨床応用可能なlevelにまで至っている。今後のさらなるMRI設定の詳細な検討が必要となる。 蛋白質解析においては現段階ではECRを決定する因子を同定するには至っていない。その原因としては検体量の不足と組織型による違いが考えられる。さらなる研究の継続が必要となる。
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