2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21791402
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本村 悟朗 九州大学, 大学病院, 助教 (50529857)
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Keywords | 大腿骨頭壊死症 |
Research Abstract |
大腿骨頭壊死症において、骨壊死巣に対する修復反応が骨頭圧潰などの病態に大きく関与しているが、未だ不明のままである。今回我々は、大腿骨頭壊死症における壊死層周辺の修復反応について、骨SPECT/CT融合画像を用いて評価する試みを行った。骨壊死発生初期であるStage 1において、CT像において壊死層周辺に部分的な骨硬化像を認め、tracer uptakeはnormal, low, moderateと様々なものであった。骨頭圧潰前であるStage 2では、CT像において壊死層周辺にはっきりとした帯状硬化像を認め、tracer uptakeは全例で帯状硬化像に一致する一様なmoderate uptake像を認めた。圧潰後早期であるStage 3Aでは、tracer uptakeは多くの症例で部分的にhigh uptakeを示しており、圧潰の起点を画像的にとらえられる可能性が示唆された。骨SPECT/CT融合画像は大腿骨頭壊死症のそれぞれの病期において壊死層周辺の生体反応を明瞭に示しており、壊死層周辺の部位によりtracer uptakeの程度は異なっていることから、骨頭圧潰の病態解明に有用なツールであることが示唆された。本研究内容を世界的な放射線学会であるRadiological Society of North Americaに投稿中である。 また、臼蓋形成不全を合併する大腿骨頭壊死症に対する治療法として、臼蓋形成術を併用した大腿骨頭前方回転骨切り術について、その中期成績を調査した。平均観察期間7.5年の間、人工股関節への移行例はなく、全例において骨頭圧潰の進行は認めなかった。本結果より、大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭回転骨切り術において、臼蓋形成不全を伴う症例では、臼蓋形成術の併用は有用なオプションである可能性が示唆され、整形外科の英文誌であるJournal of Orthopaedic Scienceに掲載が決定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に類似する論文が他方からpublishされたこともあり、当初の計画通りには進んでいないが、大腿骨頭壊死の病態解明という点では幅広く研究を進めており、交付を受けたH21年度以降4本の英文論文をfirst authorでpublishしてきた。以上より(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに他方より類似する論文がpublishされたことから、変更を余儀なくされている。血管病の観点から行うステロイド性骨壊死の病態解明、という点で、現在SPECT/CTを用いて骨壊死周辺の修復過程を評価する試みを行っており、有用な結果が得られている。今後症例数を増やして英文論文を作成し、投稿する予定である。
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