2009 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性ユーイング肉腫細胞に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の効果
Project/Area Number |
21791409
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岡田 貴充 Kitasato University, 医学部, 講師 (70525550)
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Keywords | 多剤耐性因子 / Ewing肉腫 / ヒストン脱アセチル化酵素阻 / SAHA / autophagic cell death / programed cell death type 2 |
Research Abstract |
今回の研究ではヒストン脱アセチル化酵素SAHAの多剤耐性Ewing肉腫細胞に対する効果を検討した。以前の研究で多剤耐性因子P-gp、MRP1を発現する多剤耐性Ewing肉腫細胞株WE-68/ADRとVH-64/ADRを樹立した。そこで今回第1の研究として、これら2つのEwing肉腫細胞株の薬剤感受性株と多剤耐性株に対してSAHAを投与し生存細胞数をCellTiter-Gloを用いてカウントした。SAHAは多剤耐性株に対しても薬剤感受性株と同様に抗腫瘍効果を示すことが判明した。続いてWestern blotでSAHAは薬剤感受性株と同様に多剤耐性株においても、この薬剤の効果判定として用いられるヒストンのアセチル化が観察でき、SAHAは薬剤排出ポンプであるP-gp,MRP1によって排出されず、これらの多剤耐性因子は克服できることが判明した。第2の研究としてSAHAによる抗腫瘍効果のメカニズムを解明するため、薬剤感受性株と多剤耐性株にSAHAを投与し24時間後にFlow Cytometryを行った。薬剤感受性株ではSub-G1分画が増加したのに対し、多剤耐性株ではG2/M分画が増加した。またSAHAは濃度依存性にG2/M分画を増加させることがわかり、SAHAの細胞死にはG2/M fractionの増加が関与する可能性が示唆れた。これは未だ報告されていない知見でありSAHAによる細胞死のメカニズムとして重要な点と考え研究を進めている。第3の研究として、新たに2種類のEwing肉腫細胞株RDESとSKNMCでの多剤耐性株の樹立を試みている。Ewing肉腫細胞株WE-68,VH-64は多剤耐性株を樹立した時と同様の手技を用いている。SKNMCではdoxorubicinの5ng/mlの耐性まで,RDESにおいても2.5ng/ml耐性まので細胞は採取できるがさらに濃度を上昇させると細胞株は死滅してしまう。耐性株の種類は多い方がデータに再現性が得られると考え、これら2細胞株に対しても耐性株樹立継続する予定である。
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