2010 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎部傍脊柱筋の手術侵襲に起因する筋変性・再生に関する組織学的検討
Project/Area Number |
21791412
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邉 航太 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (60317170)
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Keywords | 筋・神経病学 |
Research Abstract |
本研究では、腰部脊柱管狭窄症重症例に対して行われる低侵襲手術である「腰椎棘突起縦割式椎弓切除術(縦割術)」の有効性を、マウス縦割術動物モデルにおいて筋委縮の程度をreal time polymerase chain reaction(real time PCR)で計測することにより検討した。筋萎縮モデルは、マウスの傍脊柱筋を剥離して椎弓を30分展開したものと(剥離群、N=3)、剥離を行わずに棘突起を基部で横断して椎弓を30分展開したもの(非剥離群、N=3)を作成した。さらに皮切のみ加えたコントロール群(N=3)を用意した。そして、展開後12時間で傍脊柱筋よりmRNAを抽出し、上述の発現遺伝子群をreal-time PCRにて定量的に評価した。解析する遺伝子群は、ckm,desminを始めとした30種以上の骨格筋マーカー群、神経筋接合部の遺伝子、筋萎縮マーカーであるFox01,Fbox32,Trim63、骨格筋関連転写因子、細胞周期制御因子、アポトーシス関連、サテライト細胞における転写因子、クロマチンリモデリングに関わるSWI/SNFファミリー等とした。その結果、サイトカイン関連マーカー、筋転写因子関連マーカー、Neuromuscular Junction関連マーカーの検討では、ほとんどのマーカーで剥離群の発現が上昇していた。筋委縮関連マーカーの検討では、Fbxo32では非剥離群が剥離群より上昇していたが、Trim64では剥離群が非剥離群より上昇していた。筋関連マーカーの検討では、control群で上昇しているマーカー、非剥離群で上昇しているマーカー、剥離群で上昇しているマーカーが混在していた。剥離群でのサイトカイン関連マーカーの上昇は、炎症反応による2次的な筋損傷の存在を示唆しており、抗炎症作用のある薬物の投与により、2次的な筋損傷が減少できる可能性がある。一方、筋委縮関連マーカー、筋関連マーカーの検討では、control群で上昇しているマーカー、非剥離群で上昇しているマーカー、剥離群で上昇しているマーカーが混在しており、今後は経時的変化の検討、さらに傍脊柱筋の棘突起剥離部、実質部などの局所での発現の違いを検討する必要があると考えられる。
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Research Products
(6 results)