2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部腫瘍におけるCD44およびADAM17の発現および機能解析
Project/Area Number |
21791413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中山 タラントロバート 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00365298)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 転移 / CD4 / ADAM17 / 肉腫 / 発現解析 |
Research Abstract |
本研究の研究計画の柱は、(1)臨床検体を用いたCD44/ADAM17発現様式の詳細な検討と、(2)ADAM17によるCD44の、sheddingの機能解析の2つである。 1.臨床検体を用いたCD44/ADAM17発現様式の検討 平成22年度以降、既存の凍結保存検体に加え、整形外科手術の際に得られる新規臨床検体を用いて、mRNAレベル、および蛋白レベルでの発現解析を行った。マイクロアレイの結果同様、いくつかの高悪性度の腫瘍で発現が確認されたものの、骨軟部腫瘍は病理組織学的に非常に多彩であり、症例(腫瘍)間で発現にばらつきが大きかった。最終的に、CD44の発現量に関して、その臨床病理学的な意義を見出すことはできなかった。しかし、臨床検体収集の過程で、高悪性度肉腫の細胞株を2株樹立することができた。非常にまれな疾患であるため、細胞株の樹立は今後のin vitro/in vivoでの解析に非常に有用であり、世界中の肉腫研究に寄与する可能性があるため、今後も引き続き細胞株の生物学的解析や、細胞株を用いた肉腫の細胞生物学的研究を継続していく。 2.ADAM17によるCD44のsheddingの機能解析 平成22年度より、既存の肉腫細胞株および樹立した細胞株を用いて、CD44の発現について解析を開始した。それら細胞株を用いて、ヒアルロン酸や種々のサイトカインによるCD44のsheddingを解析したが、細胞株間でのCD44の発現、およびsheddingの様式は差があり、肉腫細胞株で一定の結果は得られなかった。また、CD44のsheddingが確認された細胞株において、sheddingと細胞形質の変化、および細胞内シグナル、転移能に関する解析を進めたが、CD44の発現や、sheddingとの明らかな関連を見出すことはできなかった。以上より、上皮系悪性腫瘍でのEMTで中心的役割を担うと考えられているCD44や、そのsheddingを行うTACE/ADAM17は、間葉系悪性腫瘍である肉腫では浸潤能・転移能獲に直接関与していない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)