2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791416
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
斎田 良知 Juntendo University, 医学部, 助教 (00534885)
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Keywords | 老化 / 遺伝子 / モデルマウス / CuZn-SOD / 活性酸素 / 酸化ストレス / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
人間の骨量は20~30歳でピークに達し、以降加齢と共に減少する。しかし、女性における閉経後骨粗鬆症と比較して、性差を問わず発生する加齢による老人性骨粗鬆症の病態は不明な点が多い。 我々は、加齢とともに生体内に増加する酸化ストレスが骨量減少の一因を担っている可能性に着目し、酸化ストレス種の一つである活性酸素の処理を担うスーパーオキサイドディスムターゼ1(SOD1)の欠損マウス(SOD1KO)の骨形態計測を行った。すると、SOD1KOマウスは野生型マウスと比較し雌雄ともに骨密度の減少が認められ、皮質骨量・海面骨量ともに著明な減少を来すことが明らかとなった。また、コラーゲン架橋による骨質の評価でも、SOD1KOマウスにおいて骨質が悪化していることを明らかにした。さらにマウス大腿骨の骨折実験ではSOD1KOマウスで骨折後の骨化が遅延していた。細胞レベルでは、SOD1KOマウス由来骨芽細胞において活性酸素種(ROS)の産生が増加しており、細胞増殖の低下とアポトーシスの亢進が認められた。これらから、酸化ストレスの増加が骨形成活性の低下を引き起こし、骨量の減少を来す可能性が示唆された。 現在の骨粗鬆症治療の主な標的は破骨細胞による骨吸収活性の抑制であるが、既存の治療法に反応を示さない患者も多数存在する。そうした患者の中に、体内での酸化ストレス増加による骨芽細胞機能不全を伴った患者が存在する事も十分考えられ、我々はこうした患者に対する抗酸化剤の投与により骨量と骨質の改善が見込めるのではないかと予想し、臨床研究も計画中である。今後加速する高齢化社会において、寝たきりの主要因となる骨脆弱性骨折を予防するためには、加齢による骨粗鬆症の病態解明が急務であるが、我々の研究成果がその一因を解明する可能性を有しており、新たな骨粗鬆症治療の確立に寄与できるものと考えている。
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