2009 Fiscal Year Annual Research Report
パールカンの成長板軟骨への血管侵入における作用機序解明
Project/Area Number |
21791418
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石島 旨章 Juntendo University, 医学部, 助教 (70365576)
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Keywords | パールカン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / VEGF / 血管侵入 / 内軟骨性骨化 |
Research Abstract |
パールカンはヘパラン硫酸プロテオグリカンの一つであり、全ての基底膜に発現する。さらに基底膜のない軟骨にも発現する。パールカン欠損マウスの作成とヒト遺伝子疾患の解析から、マウスでもヒトでもパールカンの機能完全欠損は致死性の軟骨異形成症を発症する。これより、パールカンが軟骨の分化に必須であり、二つの骨軟骨疾患がパールカン遺伝子欠損病であることが明らかとなっている。しかし、その分子機構の詳細は未だ充分に解析されていない。研究代表者は、パールカンが内軟骨性骨化においてFGFシグナルの調節と血管進入に重要な役割を担うことを示してきた。本研究は、パールカン欠損成長板における血管侵入抑制の分子機構解明が目的である。 本年度は、パールカン欠損マウス成長板軟骨における既知の血管制御因子の発現について検討した。 パールカン欠損マウス胎生期の成長板軟骨における、VEGF(Vascular endotherial growth factor)やコンドロモジュリン1やCTGF(Connective tissue growth factor)などの既知の血管侵入制御因子の発現を、組織学的評価としての免疫染色やウエスタンブロットを用いたタンパクレベルでの解析と、リアルタイムPCRを用いたmRNAレベルでの解析を行った。 成長板軟骨のパールカンが欠損すると、軟骨への血管進入に異常をきたすが、VEGFの発現は亢進しており、コンドロモジュリン1やCTGFも野生型と比べ同レベルの発現が認められた。さらに、VEGF120,-164,-188の三種類のアイソフォームのなかで、特にVEGF164の発現が亢進していた。 以上より、成長板軟骨への血管進入には、VEGFの発現のみでは十分でなく、パールカンがその機序に重要な役割を担うことが明らかとなった。
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