2010 Fiscal Year Annual Research Report
パールカンの成長板軟骨への血管侵入における作用機序解明
Project/Area Number |
21791418
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石島 旨章 順天堂大学, 医学部, 助教 (70365576)
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Keywords | パールカン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / VEGF / 血管侵入 / 内軟骨性骨化 |
Research Abstract |
パールカンはヘパラン硫酸プロテオグリカンの一つであり、全ての基底膜及び基底膜のない軟骨に発現する。パールカン欠損マウスの作成及びヒト遺伝子疾患の解析から、マウスでもヒトでもパールカンの機能完全欠損では、致死性の軟骨異形成症が発症する。これより、パールカンが軟骨分化に必須であり、二つの骨軟骨疾患がパールカン遺伝子欠損病であることが明らかとなっている。研究代表者は、パールカンが内軟骨性骨化において重要な役割を担うことを示してきたが、その分子機構の解析は未だ不充分である。本研究の目的は、成長板軟骨における血管侵入機構におけるパールカンの機能解明である。 本年度は、マウス胎生期四肢の器官培養を行い、成長板軟骨への血管浸入に重要な役割を担うFGF(Fibroblast Growth Factor)シグナルの機能発現にパールカンが役割を担うか否かを検討した。 胎生16.5日のコントロールマウスとパールカン欠損マウスの前腕骨の器官培養に、FGFレセプターのチロシンキナーゼ阻害剤であるSU5402を添加して、FGF-FGFRシグナルを阻害した。これによりコントロールマウスの成長板軟骨は、横径と長径ともに増加した。この現象は、パールカン欠損マウスでも認められた。また、コントロールマウスでは、FGF-FGFRシグナルの阻害により、肥大軟骨細胞層の10型コラーゲンの発現が亢進していた。この現象も、パールカンが欠損した状態でも認められた。さらに、コントロールマウスにおけるパールカンの発現は、肥大軟骨細胞層の細胞周囲に特に強く認められるが、FGF-FGFRシグナル阻害により、肥大軟骨細胞層のみならず増殖細胞層でも増加していた。 以上より、パールカンは、成長軟骨板への血管侵入に重要なFGF-FGFRシグナルの伝達に関与しており、その発現はFGF-FGFRシグナルにより負の制御を受けていると考えた。
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