2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性軟部腫瘍の分子機構の解明とその診断・治療への応用
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21791424
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西尾 淳 Fukuoka University, 医学部, 助教 (90360304)
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Keywords | 軟部腫瘍 / 肉腫 / 遺伝子 / 分子生物学 / 分子標的 / 染色体異常 / 悪性線維性組織球腫 / 細胞株 |
Research Abstract |
1.非円形細胞肉腫である悪性線維性組織球腫(MFH)の本態は未だ不明な点が多い。これを明らかにするために、我々は摘出された腫瘍組織のうち病理診断に必要でない余剰部分を用いて細胞株の樹立を試み、培養細胞系FU-MFH-2を新たに樹立した。このFU-MFH-2を用いて染色体分析、comparative genomic hybridization (CGH)解析および種々の免疫染色を施行した。FU-MFH-2細胞は80代以上継代されており、SCIDマウスへ移植するとMFH様の腫瘍を生じたことから、MFHのモデルとして利用できる。免疫染色ではvimentinとCD68にのみ陽性で、未分化多形肉腫と考えられた。染色体分析では複雑な核型を示し、多数のマーカー染色体を認めた。CGH解析では9q31-q34のhigh-level amplificationと9p21-pterのlossを認めた。9p21のlossが癌抑制遺伝子p16^<1NK4A>の変異と関連している可能性が示唆された。2.近年、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)/腱鞘巨細胞腫(GCTTS)において1p11-p13の染色体異常やCOL6A3-CSF1融合遺伝子の存在が報告され、本腫瘍の診断と治療に新たな展開が期待されている。染色体分析が可能であったPVNS/GCTTSの凍結標本でCSF1遺伝子再構成とCSF1R遺伝子増幅の意義をfluorescence in situ hybridization (FISH)法を用いて検討した。その結果、CSF1遺伝子再構成はPVNS/GCTTSの約59%に認められ、CSF1R遺伝子増幅は認められなかった。CSF1はPVNS/GCTTSの主要な原因遺伝子であると考えられた。
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