2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性軟部腫瘍の分子機構の解明とその診断・治療への応用
Project/Area Number |
21791424
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西尾 淳 福岡大学, 医学部, 助教 (90360304)
|
Keywords | 軟部腫瘍 / 脂肪肉腫 / 遺伝子 / 分子病理学 / 生物学 / 染色体 / FISH / 細胞株 |
Research Abstract |
1.非円形細胞肉腫である悪性線維性組織球腫(MFH)の本態は未だ不明な点が多い。本研究では樹立した細胞株FU-MFH-2を用いてfluorescence in situ hybridization(FISH)解析を行った。FU-MFH-2では癌抑制遺伝子p16^<INK4A>のhomozygous deletionを認めた。また、multicolor FISHを用いてマーカー染色体の由来を明らかにした(J Exp Clin Cancer Res 2010;29)。FU-MFH-2は原腫瘍と類似した特徴を持ち、MFHの生物学的および分子病理学的解析を進める上で有用なtoolになると考えられた。2.粘液状間質をもつ軟部腫瘍の組織診断はしばしば困難である。足関節部原発の軟部肉腫は稀であるが、染色体分析によって相互転座t(12;16)(q13;p11)、FISH解析によってDDIT3、FUS遺伝子変異を検出し確定診断に至った粘液型脂肪肉腫の2例を経験した。診断が困難な粘液性軟部腫瘍においてはFISH解析と併せた遺伝子診断の多面的アプローチが必要であると思われた。3.高分化型および脱分化型脂肪肉腫の染色体異常として余剰環状染色体と巨大マーカー染色体が特徴的である。また、FISH解析では12番染色体長腕に存在するMDM2、CDK4遺伝子の増幅がみられる。脂肪腫と高分化型および脱分化型脂肪肉腫についてcomparative genomic hybridization(CGH)法を用いてDNAコピー数の変化を検討したところ、高分化型および脱分化型脂肪肉腫では12q13-q15のDNAコピー数の増幅を認めるが、脂肪腫では認められないことを明らかにした(J Biomed Biotechnol 2011)。
|