2010 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬プレコンディショニング作用のミトコンドリアイオンチャネルに与える影響
Project/Area Number |
21791427
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
丹保 亜希仁 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80531524)
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Keywords | プレコンディショニング / ミトコンドリア / イオンチャネル / マイトプラスト |
Research Abstract |
麻酔プレコンディショニングによる心筋保護作用は、様々なファクターが関与している。その中で、重要な役割を果たすと考えられているミトコンドリアのイオンチャネルは、そのほとんどが内膜に存在することがわかっている。今回の研究では、ミトコンドリア内膜上のイオンチャネルの活動を研究するためにマイトプラストの電流を測定した。マイトプラストはラットの心筋から得たミトコンドリアより作製した。十分な麻酔下にラットの心臓を摘出し、氷温のマンニトールースクロース溶液内にて心室筋を細かく刻み、ホモジェナイズした。その後、ミトコンドリアを単離するために、低速および高速で遠心分離を行った。単離されたミトコンドリアはMS溶液中にて氷上で保存した。この方法で得られた分画がミトコンドリアであることは、蛍光色素(マイトトラッカー)で標識し、蛍光顕微鏡下で確認した。マイトプラストは上記の方法によって得られたミトコンドリアからOsmotic Shockを利用して作製した。 パッチクランプに用いたガラス電極は水平牽引型の電極作製器を使用し、抵抗はチャネル電流記録用の溶液中にて15-20MΩとなるように調整した。電極内、記録チャンバー内ともに等浸透圧溶液を用い、記録はcell-attached mode及びinside-out modeにて行った。今回の研究でターゲットとしたmitoK_<Ca>チャネル、mitoK_<ATP>チャネル、及びIMACの中であるが、チャネルのコンダクタンスからmitoK_<ATP>チャネル電流と思われる電流は記録できなかった(過去にmitoK_<ATP>チャネルの発見率4%との報告あり)。150mMのKCl溶液を用いた条件下にて、コンダクタンスが約110pSのチャネル電流が記録された。このチャネル電流は、K-glutamateに溶液を置換すると消失した。TEA-Clを用いた際には電流に変化はなく、クロライドイオンを通過させるチャネルであることが判明した。また、DIDSによりブロックされたことからIMACであると考えられた。今後、これらのミトコンドリアイオンチャネルに対する麻酔薬の影響と、in-vivoでの検討が必要である。
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Research Products
(2 results)