2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791429
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 法理 Tohoku University, 病院, 助教 (60338879)
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Keywords | 麻酔薬 / 覚醒 / 術後鎮痛 / デクスメデトミン / プロポフォール |
Research Abstract |
近年の高齢化社会、ならびに医学の進歩によりこれまでは行われなかった高齢者に対する複雑な手術が行われるようになり、全身麻酔手術後には麻酔薬の副作用の一部であると考えられる認知機能障害や覚醒遅延などが複雑な疼痛状態とともに問題視されている。そこで作用機序の明らかとなっていない麻酔薬ならびに関連する薬剤の麻酔、覚醒作用に対するメカニズムを調べ、さらに疼痛制御系に与える影響を検討することにより、速やかな覚醒を示し、認知障害などの副作用がなく、疼痛状態をなるべく改善できるような理想的な回復過程を示す麻酔法を確立することを目的とした。臨床研究において、デクスメデトミジン(0.4mcg/kg/hr)の術中使用はbispectral index(BIS)を麻酔に必要な程度に維持するセボフルレン、プロポフォールの麻酔必要量を同等に抑制するのに対し、覚醒時間はプロポフォールと併用したときのみに延長した。本年度は開腹による婦人科手術を予定された患者を対象とし、デクスメデトミジンの濃度を4通りに変化させ、それぞれセボフルレン、プロポフォール麻酔下で(1)BISを一定に保つための麻酔必要量(2)覚醒時間(3)術後疼痛状態(4)副作用の有無、発現頻度を検討をおこなった。デクスメデトミジンの投与量を増加させると、麻酔必要量は減少したが、覚醒時間、疼痛状態には変化がみられなかった。投与量を増加させるとによる副作用は特に見られず、安全な使用は示唆されたが、覚醒のメカニズムを検討するには今後、麻酔薬の組み合わせを変化させることが必要である。術後の鎮痛状態を改善するには併用薬剤などを検討していかなくてはならない。
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