2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄マイクログリアの活性化が術後痛に果たす役割 ―神経障害性疼痛との比較検討―
Project/Area Number |
21791431
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三枝 里江 群馬大学, 医学部, 医員 (10400772)
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Keywords | 術後痛 / 脊髄グリア細胞 |
Research Abstract |
これまでの疼痛研究のほとんどはニューロンをターゲットにしたものであったが、近年、脊髄グリア細胞(マイクログリアとアストロサイト)が単なるニューロンのためのhousekeeper的な役割をしているだけではなく、侵害刺激により活性化し、疼痛を増強することが明らかになってきた。 我々のグループは、脊髄グリアの活性化が術後痛に関与することを見出してきたが、マイクログリアとアストロサイトのそれぞれの役割については不明である。マイクログリアについては、神経因性疼痛や炎症性疼痛に大きく関与することが報告されているが、術後痛の場合はどうなのか、詳細に解析することは術後痛の機序の解明に大きく貢献する。また、minocyclineのように臨床に使用できるマイクログリア抑制薬が存在するため、治療にも役立つ可能性がある。 平成22年度は、神経因性疼痛モデルで脊髄マイクログリアが感覚過敏を惹起する時期を確定することを目的に研究を行った。実験動物は、180~200gの雄SDラットを用い、Spinal nerve ligation ; SNLモデル(Pain 1992 ; 50 : 355-63)の変法であるL5脊髄神経切断モデルを作成した。薬剤は以下の3つの時点から、脊髄のマイクログリアを抑制するminocyclineおよび選択的p38MAPK阻害剤SB203580を7日間連続で投与し、感覚過敏に対する効果を判定した。感覚過敏はvon Frey filamentsを用いたup-down methodによって、連日逃避閾値を測定することで判定している。 1.L5脊髄神経節断直後2. L5脊髄神経切断後2週間 3. L5脊髄神経切断後2ヶ月今後は実験数を重ねて、来年度の実験につなげていく予定である。
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