2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析による難治性動的アロディニアの新規治療標的分子の探索と同定
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21791442
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
佐々木 淳 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (10401811)
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Keywords | ミクログリア / BDNF / Iba-1 / KCC2 / P2X4受容体 / S1P3受容体 / trkB受容体 |
Research Abstract |
今年度は以下のことを明らかにした。(1)P2X4受容体活性化による動的アロディニア発生メカニズム:昨年度ミクログリアで発現増加するP2X4受容体が動的アロディニアの発生に関与することを見出した。今年度はP2X4受容体活性化以降の動的アロディニア関連メカニズムを解析した。動的アロディニア発生初期からP2X4受容体拮抗薬を脊髄くも膜下腔内に繰り返し投与すると,動的アロディニアの発生が抑制された。P2X4受容体拮抗薬の投与はミクログリアマーカーIba-1およびミクログリア由来痛み関連遺伝子BDNFのmRNA発現増加を抑制しなかったが,Cl-排出ポンプであるK^+-Cl^-cotransporter (KCC2)のmRNA発現低下を抑制した。また,trkB-Fcキメラタンパク質を動的アロディニア発生初期から脊髄くも膜下腔内に繰り返し投与すると,動的アロディニアの発生が抑制され,KCC2のmRNA発現低下も抑制された。以上から,P2X4受容体の活性化はミクログリアの活性化プロセス自体には関与しないが,その活性化によりBDNFが放出され,trkB受容体活性化によってKCC2発現低下が生じるという動的アロディニア発生メカニズムが明らかとなった。(2)動的アロディニア発生におけるSlP3受容体の関与:マイクロアレイ解析から見出された動的アロディニア発生遺伝子候補のSlP3受容体の関与を検討した。脊髄後角におけるSlP3受容体mRNA発現が帯状疱疹期と帯状疱疹後神経痛期の両時期で増加した。脊髄くも膜下腔内にSlP3受容体拮抗薬を単回投与すると帯状疱疹期と帯状疱疹後神経痛期の両時期の動的アロディニアが抑制された。以上から,SlP3受容体が帯状疱疹期と帯状疱疹後神経痛期の両時期の動的アロディニアの発生に関与することが示唆された。
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