2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791443
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柴田 純平 信州大学, 医学部, 委嘱講師 (20324262)
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Keywords | 痛みの定量化 / バイスペクトラルインデンクス(BIS) / 聴覚誘発電位 / 全身麻酔 |
Research Abstract |
全身麻酔中の痛みの評価として、体性-交感神経反射による心拍数や血圧の変動が用いられてきた。しかしこの反射は、ヒトがどの程度の痛みを大脳皮質で知覚しているのかを直接示してはいない。本研究は、侵害刺激による大脳の電気的活動の変化を捉え、痛みを定量化し、術中の適切な鎮痛レベルの評価に役立てることを目的としている。大脳の電気的活動として自発脳波から鎮静度を算出するbispectral index (BIS)と、中潜時聴覚誘発電位から鎮静度を算出するAEP indexを用い以下の成果が得られた。 1、気管挿管はBISとAEP indexを変化させない 全身麻酔導入時の気管挿管は侵害刺激であり、鎮静薬、筋弛緩薬、鎮痛薬の投与後に実施される。気管挿管の際には、BISとAEP indexに有意な変化は見られない。 2、執刀開始はBISとAEP indexを変化させない 外科的切開開始時には、大きい侵害刺激が加わる。鎮静薬、筋弛緩薬、鎮痛薬が十分に投与されている状態では、手術開始時にBISとAEP indexに変化は生じない。 3、電気痙攣療法はBISとAEP indexを変化させない 電気痙攣療法は薬剤抵抗性のうつ病患者に対して、頭皮に100Vの電圧を与える治療であり、それは一過性の強い侵害刺激と考えられている。この電気痙攣療法では鎮痛薬を用いていないため、血圧や心拍数は上昇するがBISとAEP indexに変化は生じない。 今回の研究では、既に十分な鎮痛が得られていたためBISとAEP indexに変化が生じなかった可能性もある。侵害刺激の強度、鎮静薬・鎮痛薬の種類・量は今後の検討課題である。
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