2009 Fiscal Year Annual Research Report
積極的脳循環維持による心臓手術後せん妄および認知機能低下予防効果の解明
Project/Area Number |
21791454
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 孝治 Oita University, 医学部, 講師 (10363558)
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Keywords | 周術期管理 / せん妄 / 認知機能 / 脳血流量 / 脳組織酸素飽和度 |
Research Abstract |
本年度は,心臓手術周術期において2つの非侵襲的脳循環モニターであるTCD装置とrSO2測定装置を併用し,その測定値を指標として脳循環維持に対し積極的介入し,心臓手術後せん妄および認知機能低下の発生を減少するか否かの検討を行った。 麻酔方法は少量フェンタニル麻酔とし,プロポフォール投与量を調節して麻酔維持。人工呼吸器管理中は呼気終末時二酸化炭素分圧を35mmHg前後で維持した。周術期における、脳血流及び脳組織酸素飽和度の測定は,術前日(病棟),麻酔導入前より麻酔終了後まで(手術室),ICU入室時より覚醒時(ICU)まで施行した。脳血流はTCD装置を用いて,中大脳動脈血流を連続的にモニタリングし、さらに、脳組織酸素飽和度はrSO2装置を用いてセンサーを前額部に貼付し連続的にモニタリングした。せん妄の判定を,麻酔覚醒後から12時間毎にICU退室時まで行い、認知機能低下の判定を, Mini-Mental State Examination(MMSE)及び長谷川式知能スケール(HDS)を用いて行った。剛SEとHDSは術前診察時(1回目),術後抜管翌日(2回目)退院前日(3回目)に施行し,術前診察時の点数と比較することで認知機能低下の判定を行った。さらに術後脳卒中の有無,患者背景,術前合併症の有無,術式,手術時間,麻酔時間,人工心肺時間,大動脈遮断時間,術中・術後低血圧の有無,術中・術後心房細動の有無,術中・術後低酸素の有無,人工呼吸器装着時間,ICU入室時間,入院時間などの因子についても記録した。 現在、これらの患者データを収集中であり、目標症例数に達した段階にて、心臓手術後せん妄および認知機能低下の発生率を検討する。また,せん妄および認知機能低下を認めた群と認めなかった群の2群において,脳血流及び脳組織酸素飽和度の低下が影響するのか詳細な分析を行う予定である。
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