2009 Fiscal Year Annual Research Report
アディポサイトカインの担う難治性疼痛形成におけるエピジェネティクス制御機構の解明
Project/Area Number |
21791469
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木口 倫一 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (90433341)
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Keywords | アディポサイトカイン / レプチン / サイトカイン / ケモカイン / エピジェネティクス / マクロファージ / 神経障害性疼痛 / CCL3 |
Research Abstract |
<研究の目的> 難治性疼痛の形成におけるアディポサイトカインおよびその下流に位置するサイトカイン・ケモカインの役割を検討するとともに、それらの発現変動を担うエピジェネティクス制御機構を明らかにする。 <実験方法> 坐骨神経部分結紮(PSL)モデルマウスおよび培養マクロファージを用い、行動薬理学的、生化学的および免疫組織・細胞化学的手法による解析を行った。 <実験結果> 培養マクロファージにおいて、レプチン処置によりIL-1βの発現が増加し、また炎症性ケモカインであるCCL3、CCL4およびCCL5の発現増加が観察された。これらはいずれもJak2-STAT3経路を介して発現が増加し、またPSL後の坐骨神経においても長期的な発現増加が認められた。CCL3およびIL-1βはPSL後の坐骨神経に浸潤するマクロファージに局在しており、これらの中和抗体およびその受容体に対するsiRNAを傷害部位に局所投与すると神経障害性疼痛が抑制された。またCCL3はIL-1βの発現を制御していることも明らかになった。PSL後の坐骨神経において、DNAメチル基転移酵素(DNMT)の発現を評価したところ、DNMT1の発現増加およびDNMT3aの発現低下が認められた。さらにメチル化DNA結合タンパク質であるMeCP2の発現低下が観察された。 <考察・意義> 本研究において、難治性疼痛形成の責任分子であるレプチンを介して発現が増加するメディエーターを新たに同定し、それらが疼痛形成に及ぼす役割を明らかにした。またエピジェネティクス制御因子の発現変動が起こることも見いだしており、今後の更なる発展が期待できる。
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