2010 Fiscal Year Annual Research Report
星状細胞内カルシウム濃度振動性変化による脳血流調節機構の解明
Project/Area Number |
21791471
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中畑 克俊 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70332971)
|
Keywords | 星状細胞 / 振動性細胞内カルシウム濃度変化 / 麻酔薬 / 脳血管 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
近年、脳神経細胞と協同し活性化された星状細胞(アストロサイト;astrocyte)が、カルシウムシグナル伝達を介して脳実質内細動脈の血管径調節に重要な役割を果たしていると報告されているが、アストロサイト内カルシウム濃度の上昇が、どのような条件の下で血管収縮・拡張反応を引き起こすか、また、この際どのような血管作動性物質が星状細胞突起を介して血管平滑筋に伝達されるかは、未だ明らかでない。本研究は、グルタミン酸受容体刺激および虚血病態時に見られる脳実質内細動脈の収縮弛緩反応に焦点を当て、これら反応性の差異は、隣接する星状細胞を起点とする振動性細胞内カルシウム濃度変化(calcium oscillations)、すなわち周波数変調(frequency)および振幅変調(amplitude)の違いを反映したものであるとの仮説を立て、これらを実証することを目的とした。蛍光蛋白質GFPを星状細胞内繊維蛋白プロモーター下に発現させたトランスジェニックマウスを用い、大脳皮質を含むスライス標本を作製した。カルシウムイオン蛍光プローブ(rhod-2/AM)を星状細胞に取り込ませた後、人工脳脊髄液を灌流させた観察チャンバー内にスライス標本を静置し、標的細動脈の血管径変化を経時的に観察した。また、スペクトル解析から得られたカルシウムシグナル特性との連関を見た。現在、グルタミン酸受容体刺激および低酸素ストレス時に見られる脳実質内細動脈の収縮弛緩反応は、アストロサイトを起点とするカルシウムシグナル伝達の違いを反映したものであるかどうか検討を続けているところである。また、麻酔薬存在下でこれらシグナル伝達に影響があるかどうかについても検討を行っている。
|