2010 Fiscal Year Annual Research Report
成熟ウサギを用いたベクロニウムの中枢神経への移行性と中枢神経呼吸調節機構への作用
Project/Area Number |
21791479
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
桜庭 茂樹 神奈川歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (00383729)
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Keywords | 非脱分極性筋弛緩薬 / 中枢性呼吸調節機構 / 血液脳関門 / 呼吸抑制 / ベクロニウム |
Research Abstract |
成熟ウサギを人工呼吸管理・全身麻酔下で、非脱分極性筋弛緩薬ベクロニウムか静注し、呼吸シグナルである中枢性呼吸調節機構から発せられる横隔神経活動への影響を調べた。本来、非脱分極性筋弛緩薬は、血液脳関門を通過しないと言われている。そこで、頚動脈から高濃度のマンニトールを注入することで、血液脳関門破壊前後の影響も調べた。 血液脳関門が破壊されていない状態では、ベクロニウム0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kg静注は横 隔神経活動への作用はなかった。よって、血液脳関門がある状熊では、静注されたベクロニウムは過去の論文で指摘されているように血液脳関門を通過しない。もしくは通過しても微量であるため中枢性呼吸調節機構への影響はないことが示唆された。 一方、マンニトールで血液脳関門を破壊した際には、ベクロニウム0.1mg/kg静注では横隔神経活動への作用はなかった。ベクロニウム1mg/kg静注は、有意に横隔神経活動の回数、振幅を抑制した。ベクロニウム10m/kg静注は、横隔神経活動に非呼吸性の興奮活動を引き起こした。これらの結果は、研究代表者が血液脳関門がない状態で薬品め中枢性呼吸調節機構への作用を検討できる新生ラット摘出脳幹脊髄標本での結果と同様のものであった。 本研究より、血液脳関門破綻時には静注された非脱分極性筋弛緩薬は脳脊髄液へ移行し中枢性呼吸調節機構を抑制することが示唆された。
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